3話:はじめてジム戦やりました。

「……決着つくの早すぎねぇ?」


「実際そういうもんでしょ」


プールの中で凍りついたウオノラゴンとアリゲイツ。

ふたりのジムトレーナーたちはあたふたするばかり。



………まぁ、決着がついたからこれでいいや。


あとはあのウナギ女……いや希望の担い手(笑)を半殺しにするだけ。



「まぁ……いいさ、私たちの代わりに我が女王が君たちを倒すさ………。




女王の凱旋であるッ!!祝え!!」


ニヤリと笑い、声高らかに叫ぶウオズ。

その直後、スタジアム内に鳴り響く音楽。

それも………なんか聞いたことあるやつ。


それと同時にウナギ女はびたーんびたーんと足(ヒレ?)をばたつかせながら歩き出す。



「全ポケモンの力を受け継ぎ!

時空を超え、過去と未来をしろしめす時の女王!!


その名もノゾミ太夫!シビルドンアーマー!

新たなポケモンの歴史の幕が開きし瞬間である!!」


《とーきのな~かを~♪かけるよ~に~♪》




「「………………」」


……………なんっっだこれ。


なにこの茶番。



改めて思うけど、最初のジムリーダーがノンたんとか……マジで気が抜ける。


て言うかスピーカーから流れるこの歌もノンたんが歌ってんのかよ。


………ノンたんの親友のセッテからは『ノゾミはすごく歌がうまい』って聞いてたけど………


うーん………

のえるんの歌声を聞いたせいだからかな?



………元気なだけで正直ビミョーだ。
音痴でもないけど、特別上手いって訳でもない。


つーか………ホントに何から何まで中途半端だなコイツ。




………おっと。

ノンたんをディスるのはここまでにしとこうか。



「………ちゃんちゃかちゃんちゃん♪ちゃちゃんちゃちゃんちゃん♪

ちゃんちゃかちゃんちゃん♪ちゃちゃんちゃちゃんちゃん♪」


「「…………」」


ウナギ女はスタジアムにまでやってくると、扇子を取り出し腕をブンブン振る。

ていうかいきなりやるんかい……。



「…………親友と遊びに出掛けてい~たら~♪私の故郷が滅んでましたぁ~♪

…………チックショーーーーーー!!!」


「「…………」」


「うぅ………ノゾミ、顔怖い」


なんだろう。

凄い見た目も芸風も凄まじくシュールなはずなのに笑うに笑えない。


のえるんに至っては今にも泣きそうな顔をして俺の後ろに隠れてしまった。



「ちょっと待ってジムリーダー!

俺たちバトルしたばっかなんだけど……せめてポケモンたちの回復を………」


「うるさいっ!問答無用!!」


「ちょっ!?」


………うん、そうだよね。

俺たちの意見なんてこのウナギ女は聞かないよね。


うん、知ってた。こうなるって思ってた。



ウナギ女は扇子を投げ捨てるとモンスターボールを投げるのであった。
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