1話:ポケモンの世界になりました。

「だいたい若造!お前は既にポケモン持っておるだろう!
しかもめずらしい色のワンパチを!」


「いやいやいや!この子ポケモンじゃないから!バイクだからこの子!」


そして理不尽を強いるユーキド博士は俺のヒメを指差す。


たしかにヒメはポケモンにしか見えないし、はじめて拾ったときは驚いたよ!?

でもこの子尻尾引っ張ったらバイクになるのと、時たま歌を歌うことしかしねぇから!

技とかでねぇから!!



「ええい!問答無用!
このユーキドが直々にお前にポケモンバトルを申し込む!!」


「いきなりかよ!しかも展開はやくね!?」


……えーっと確か博士とバトルっていうボツシナリオが初代にはあったとは聞く。


それが本当かは分からないけど……勇騎さん、どうやら自分がラスボスになるつもりだったのかな?


まぁ、しょっぱなから戦うっぽいんですが。




「シャラーップ!!私がゲームマスター!私がルールだァァァ!!」


勇騎さんは赤と白に彩られたボールを取り出した。


……そう、これがポケモンの入った“モンスターボール“。

普段はこのモンスターボールというカプセルにポケモンをしまいトレーナーは旅をしている。


ちなみにモンスターボールは傷ついたポケモンが自らの体を文字通り小さくして身を潜める習性があり、その習性を活かして開発したものなんだとか。



「行け!デスマス!!」


そして小型化したモンスターボール中央のボタンを押すとボールが手のひらサイズまで大きくなる。


そしてそれを投てきすれば………中から現れたのは………

浮遊する黒く小さな体。
2本の腕。
赤い目。

そして……尻尾、だろうか?
尻尾に黄金の仮面デスマスクをぶら下げている。


そう、彼こそ古代の墓に埋葬された人間の成れの果て。

生前の顔を模した仮面をみては夜な夜な涙を流す死霊の如きゴーストタイプのポケモン………『デスマス』である。





………って!発電機に回してるピカチュウ以外にもこの研究所にはピカチュウたくさんいるだからピカチュウ使えばいいだろうが!!



て言うか他の研究員いなくね!?

もしかしてユーキド博士以外みんなピカチュウってか!?


どんだけ寂しいやつなんだよユーキド博士!!




「ちょっ………マジかよ………!」


「イヌヌワンッ!」


困惑してばかりの俺をよそにヒメは俺とユーキド博士たちの間に割って入る。



「ヒメ………お前、ポケモンバトルやんの!?ポケモンじゃないのに」


「イヌヌワンッ!」


俺の言葉に力強く頷くヒメ。



どうやらやる気である……戦えるかどうかは別として。
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