3話:はじめてジム戦やりました。

「気を取り直して………なぁ、ジニア」


「なんだ?」


「ウオノラゴンってあのポケモン………“魚の頭のドラゴン”だよな。

“魚の頭”……魚頭うおず、そんでトレーナーの名前もウオズなのかな?」


「知らねーよ」


我ながらナイスな考察だと思ったんだけどナー。

まぁ、それはおいといて。


まずは敵のポケモンを分析しようか。

敵のポケモンはみずタイプのアリゲイツとみず・ドラゴンタイプのウオノラゴン。


まず、俺たちのポケモンのなかでアリゲイツに有効打を与えられる技を持っているのは、ジニアのエルフーンと今ボールのなかで休んでいる俺のヒメ。

ただ、ヒメの技でアリゲイツの弱点を突くことができるのは低威力の『ほっぺすりすり』のみ。

だからアリゲイツ攻略に関してはジニアに任せようか。


そして、ウオノラゴンの弱点を突けるのは意外にもフェアリータイプのピッピ。

ピッピの技を調べてみるとフェアリータイプの技『ムーンフォース』という技があった。


ムーンフォースとは、上空に呼び出した月の光を集め、エネルギー弾やビームを放つフェアリータイプの技。

……技の使用の前に『月は出ているか?』とか言いたくなるこの技だが、威力は割と高めだし、燃費もいい。

しかもゲームでは3割で相手の『とくこう』……特殊攻撃の値を半減させるという追加効果もある。


つまり、『殴る』『蹴る』といった己の体を使った攻撃ではなく『念力』だとか『火を吹く』とかそういった類いの攻撃の威力を弱めることができるってワケ。


まぁ、今はムチュールちゃんにエルフーンのサポートを頑張って貰いたいからしばらくは出さないけど。



「………ジニア」


「任せろ………モコ!“はっぱカッター”!」


「えーーーるーーー!!」


ジニアのエルフーンから放たれる新緑の刃。

狙うのはもちろん、ゲイツ……じゃなくてケイツのアリゲイツ。


「グオッ!………っ!」


「アリゲイツ!」


はっぱカッターの直撃をくらい、その体には切り傷が無数に出来上がり、至るところで血が滲む。


………かわいい見た目をして、本当に恐ろしい攻撃をするよ。



「ケイツくん………ここは私のウオノラゴンに任せてもらおうか………!

ウオノラゴン!“りゅうせいぐん”!!」


「………やべっ!ムチュール!逃げろ!」


ウオズのウオノラゴンの口に収束される膨大なエネルギー。

『りゅうせいぐん』という技はその高い破壊力の代償に自らの『とくこう』の値を4分の1まで減らす大技だ。

連発こそ出来ないが、やはりこの技の威力は桁外れに高く、当たればひんしも免れない。


………少なくともはじめてのポケモンジムのジムトレーナー戦で出てきていい技ではない。



「ウォォォォォォォ!!」


《超銀河エクスプロージョンッッ!!》


どこからともなく響くポケモンとは関係のない音声と共にウオノラゴンは天に向かってエネルギー弾を放つ。

放たれたエネルギー弾は空中で弾け、その名の通り流星群となり俺のポケモンに遅いかかる。



「むっ……むちゅ………!」


「えるっ!」


もはやどこからともなく聞こえてきた声に突っ込む暇もない。


ムチュールはその攻撃に怖じ気づくが、ジニアのエルフーンが動けないムチュールの体を掴み、りゅうせいぐんの攻撃を回避していく。


「え……えるぅ…………」


「モコ、グッジョブ………!」


その身軽さを活かし、りゅうせいぐんを回避しきったエルフーン。

りゅうせいぐんこそ回避出来たが、スタジアムのあちこちが抉れ、その攻撃の威力の高さを物語っている。


だが、もうこの威力のりゅうせいぐんは放てない。


………さて、ここから反撃開始ってやつだ。




「やるじゃないか……君たちのポケモンも」


「どうも………。しっかしやべぇ攻撃だったな…………」


「助かったよ……ジニア。あとエルフーンも」


「えるっ!」


ジニアのエルフーンはどや顔を見せる。

なるほど……このエルフーン、結構なお調子者だな?


結構かわいいじゃんかよ………いいなぁ。



「むっちゅっ!」


「いてててて!」


……ちなみに嫉妬したムチュールちゃんに頬っぺを思いっきりつねられました。まる。
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