2話:希望の担い手(笑)が人間辞めてました。

「祝えっ!!……て~て~♪

全ポケモンの力を受け継ぎ過去と未来をしろしめす世界の美少女!

我こそがノゾミ大夫!シビルドンアーマー!

まずひとつポケモンの力を受け継いだ瞬間である!!」


「「……………」」


どっかで聞いたことある2つ名………っていうか自分で世界の美少女とか言う?

ていうか自分で祝うし、自分でBGMもやるんだ………。



「…………お義父さーん。

ここにイタい子いるけど、あの大きさ包めるバンソーコーない?」


「お義父さんいうな。ていうかさりげなく酷いなお前」


ジニアが困惑するなか、俺はノゾミ大夫を見据えてはモンスターボールを構える。

こいつがジムリーダーだというなら、ここでコテンパンにしてジムバッチをぶんどるだけ。
ノンたん本体はもう川にでも棄てておけばいいだろ。


俺だけでなくジニアもいるから俺とジニアの手持ちを総動員して攻撃すればあの巨体でも倒せるだろうし。



………え?酷いって?


何いってんだ。


コイツにはイロイロと迷惑をかけられてるからな俺達は………!!

もうどれだけぶん殴っても良心が痛まねぇわ。



「この私に挑みたければナカムラジムに来なさァい!」


しかし………ノゾミ大夫は踵を返すとドスドスと後ろのヒレや尻尾を巧みに操り、ナカムラジムの方へと歩いていく。



「はぁっ!?ここでバトルじゃねーの!?」


「なにいってんのさ。ここでバトルしたら釣り堀やってる人に迷惑でしょー!」


「………案外、常識はあるんですねノゾミさん」


「お"お"お"お"ん"!?」


………うん、煽り耐性の低さからしてノンたん本人だ。

だがノンたんは自分がジムリーダーだと信じこんでいる…………のか?



「まぁいいわ。待ってるからね、チャレンジャーたち!」


そして、びたーんびたーんと歩きながら、ノゾミ大夫・シビルドンアーマーは釣り堀を後にし、ナカムラジムの方へと歩いていきましたとさ。



「………ていうか泳いでいけよ!ウナギなんだから!!」


…………俺の言葉はノンたんには届かない。



(続く)
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