2話:希望の担い手(笑)が人間辞めてました。

「「なんだこの状況」」


「…………たのしそう」


「「ゑ?」」


ノンたんを丸飲みにしてるポケモン、それは手が生えた巨大なウナギのようなポケモン。


でんきうおポケモンの『シビルドン』だ。


ヤツメウナギとデンキウナギをモチーフとしたでんきタイプのポケモンであり、意外にもみずタイプではなく、でんきタイプ。


ノンたんを丸飲みできるほどの大きさからこの釣り堀の主、だろうか?

しかしこのポケモンはシビビールというポケモンに『かみなりのいし』と呼ばれるアイテムを使用しなければ進化しないポケモンであり、基本的にアイテムで進化するポケモンは野生では出現しない………はず。


トレーナーに捨てられた個体が野生化し、釣り堀に迷い混んだのか………?


まぁ、そんな考察よりこのふざけた状況の方がヤバいのだけども。



「………ちゃんちゃかちゃんちゃん♪ちゃちゃんちゃちゃんちゃん♪

ちゃんちゃかちゃんちゃん♪ちゃちゃんちゃちゃんちゃん♪」


なんかシビルドンに食われたノンたんは何処からともなく扇子を取り出してはそれを広げ歌を歌いはじめる。


しかも、無駄に甲高い声で。



「……寝袋だとおーもって入ってみーたら~♪

野生のシビルドンでしたぁぁぁ~~♪


………チックショーーーーーー!!!」


「「………」」



ノンたん………いや、『ノゾミ大夫・シビルドンアーマー』の鬼気迫る表情。


ノエルはケラケラ笑い出すのだが、俺たちは全く笑えない。


何をどうしたら寝袋と間違えて野生のシビルドンの口の中に入れるんだよ。



「………ツッコミ所多すぎてツッコめねぇわ」


コレが我々の総意。


もう、俺たちにはそんな余裕も体力も残されてはいないんだ。



…………そして恐れていることがひとつ。



「………私もやりたい」


「「嘘だろ…………」」


ノエルが真似するのではないかという恐怖。


ノンたんなら特別な訓練(笑いの方向で)を受けてそうだけど、ノエルはそうではない。


そんな素人がプロの芸人……希望の担い手、いや失笑の担い手の真似をすれば大怪我どころじゃ済まされない。


だがフラグは立ってしまった。



さぁ………どうするよ?
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