2話:希望の担い手(笑)が人間辞めてました。

「「「おぉ…………!!」」」


ポケモンセンターで俺たちに割り当てられた部屋は3部屋。


とりあえずは俺に割り当てられた部屋を見る。

部屋の内部は思っていたよりも広く、大きなベッドがひとつ、テレビがひとつ、そしてユニットバス………。

なんというかちょっといい感じのビジネスホテル、といった感じだ。


でもこれだけの部屋が1人ずつ割り振られているのなら、最高だと思う。

ポケモンセンターの隣にはフレンドリーショップもあるから夜中に腹が減ってもジョーイさんに部屋の鍵を預けて食べ物買いにいけるしな。



「どーん」


「おいおい……あんまりはしゃぐなよォ。

隣に迷惑かかるからなぁ」


するとノエルがベッドにダイブ。

見るからにフカフカなベッドがノエルの体を受け止める。


そしてそれを注意するオオタチ大好きお兄さん………こうして見てるとこの人も父親なのか。




「……案外、常識はあるんですね」


「そんなにゲンコツされたいのかやんちゃ坊主」


………おぉっと、流石にゲンコツは勘弁だ。

俺は肩を竦めるとボールからヒメとピッピ、ムチュールを出してやる。

流石にボールの中じゃ窮屈だもんな。


ここに登ってくる前にジョーイさんに確認したのだが、ポケモンセンターはポケモンとそのトレーナーのための施設である以上、自分のポケモンを自分で責任を持って管理できるのであれば部屋の中でポケモンをボールから出してもいいらしい。



「イヌヌワンッ!」


「むちゅっ!」


「ぴっぴッ!」


「おぉ…………!!」


3匹のポケモンたちは俺をまじまじと見つめる。


夢にまで見た光景がここにある。

かわいいポケモンたちとこうしてのらりくらりと旅をして1日の疲れをポケモンセンターやキャンプで癒し………うーん、最高っっ!!



………しかし俺は大切なことを忘れていた。


ここは勇騎さんが作ったゲームの中の世界なのだと。




─────パチッ



「………えっ?」



その瞬間、ひとりでに部屋のテレビがついた。


誰もリモコンには触れていない。



そして画面に映し出されていたのは……………




『ハーッハッハッハッハ!!

どうやらナカムラシティにまで到着したようだな哀れなエイパム共ォォォ!!!』


もはや元の性格すら霞んでしまうほどのハイテンションな白衣の男。

最初のポケモンをくれずに空のモンスターボール寄越してきた男。

生身でシャドーボールぶっぱなして自分の研究所を吹っ飛ばした男。

そして………研究員代わりにピカチュウを置くしかなかった男。






───そう、今回の黒幕(?)………呼道勇騎………


またの名をユーキド博士。






「「出たよポケモン界の残念博士」」



『残念言うな!』



本当はポケモン世界の住人でもないけど……まっ、いいか☆
18/24ページ
スキ