2話:希望の担い手(笑)が人間辞めてました。

「それでは行きましょうか」


「レッツゴーロト!」


「おーっ」


ロトム図鑑が右腕を掲げれば、ノエルもそれを真似して右腕を掲げる。


出会った頃より大分明るくなった。

本当に明るくなった。


あれだけ辛いこともたくさんあったし、みんな怪我をしたり、ノエルも辛い目に遭ったのに。

元の世界ではやべー奴に命を狙われているのに。


………辛い別れもあった。


それでも……信じられる仲間がいたからかな?

それとも……あらゆる悲しいことから解放されたポケモンの世界だからこそかな?



でも……なんだっていいんだ。


今はこの子が笑っていられるなら、なんだっていい。



「まずは、我が社の研究室からですね。

我が社では日用品の他に、新しいモンスターボールを始め、『ポケまんま』や『ポケちゅーる』をはじめとしたポケモンフーズ全般。

あとはポケモンとの共存を重点を置き、ポケモンとの会話を楽しめる『ポケリンガル』などの製品をここで研究・開発を行っています」


「なるほど………」


窓越しに研究室の中を見る。

なかにはリクニシさんたち研究員やその仕事サポートするポケモンたちが何かの実験を行っている。


そこにいるのは黒いてるてる坊主のようなゴーストタイプのポケモン『カゲボウズ』。


そしてリクニシさんの腕にははんこのようなものが握られており、リクニシさんはカゲボウズにそのはんこを押す。



「あれ、何してるんですか?」


「あれは『反魂はんこんはんこ』。

あれをゴーストタイプのポケモンに押印することで実態を持たないゴーストタイプのポケモンにも触れるようになるアイテムです。

既に反魂はんこはこのキーユウ地方全般を中心に製品化されていますが、今はより効き目の長い、その発展型のテストをしているところですね」


「なるほど………」


あぁやってポケモンのアイテムを開発して、ポケモンと人間が共存するためのアイテムを作っているのか。


素晴らしい世界じゃないか。


人間とポケモンが………『異なる種族の者』たちが手を取り合って生きていく。



………俺たちの『仮面ライダーの世界』は同じ世界の同じ人間ですら分かりあえないというのに。




「~♪~~♪♪」


物思いにふけっているとなんか歌が聞こえてくる。

明らかにプリンとは違う声。


なんというか……どちらかというと人間に近いのだけど…………。



「あぁ………またか………」


苦笑いするミチノリ社長。


ミチノリ社長と共に俺たち3人は歌声が聞こえる方へ。


そこにいたのは………


首から目元まで黒い体毛で隠れた顔。
首の長い恐竜のような姿をした青いポケモン。

名前は『モノズ』。

あくタイプとドラゴンタイプの複合タイプのポケモン。


そして彼の首にはモンスターボール型のアイテムが装着されていた。



「かわいい………」


またもや目をキラキラさせるノエル。

うん、君が一番かわいいよ。




でも………このモノズの歌ってる歌は……………









「…………夢な~らばっ♪ど~れほど♪よかったでしょ~お♪」


「Oh,my………」



「リクニシのモノズの………


………『ものづけんし』です」




「「そのまんまっ!!」」




…………これには俺もジニアも、ツッコミを入れるしかなかった。



まぁ………ノエルは喜んでたからいいんだけどさ。
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