1話:ポケモンの世界になりました。

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「イヌヌワンッ!イヌヌワンッ!」



…………声が聞こえる。


このなんとも形容し難い鳴き声。

間違えるわけない。
この鳴き声はうちのわんこ……ヒメだ。



「んっ…………」


ヒメの声に目を覚ます。


あれからどれだけの時間気を失っていたのだろうか。


俺は体を起こし、目を擦ると辺りを見回した。


目の前に広がるのは広大な自然、大空を飛び交い、大地を駆け抜ける生き物たち。



───なんで“鳥”だとか“犬”だとかと表現するんじゃなくて、“生き物”と表現したかって?


目の前にいる生き物は俺たちの世界の“既存の生き物”じゃなかったからだよ。



無論、目の前に広がる世界も俺たちの知る世界ではない。




そう、それは………………!!!





「マジかよ…………。

ここ、もしかして本当にポケモンの世界………?」



………いやいやいやいや。信じねーよ、流石に。



なんか見たことある電気ネズミがこっちを気にしてるけども。

大谷○江さんの声に似てる電気ネズミがいるけども。



「ピカピ?」

「イヌヌワンッ!」


うちのポケモンもどきと電気ネズミがコミュニケーション取り始めたけども俺は信じねぇぞ?



もしあんな事さえ起こらなければ素直に「かがくのちからってすげー!」っていうつもりだったんだけども、そんなこと言ってられねぇ状況だ。


だって俺以外誰もいないんだもん。


他の仲間たちとはぐれたっぽいんだけど。




「ふ………ふふふふふ……………!


ふざけるなよ呼道勇騎ィィィーーーーーーー!!!!」




──こうして俺たちに訪れた暫しの休暇はあのアホンダラ……ユーキド博士によって見事に粉砕された。


俺の叫び声だけがこのだだっ広い世界にこだまするのだった。
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