1話:ポケモンの世界になりました。

「たっ、助けてくださいっ!!」


俺たちに駆け寄ってきたのは白い服を着た研究員の女。


俺たちの仲間でも、ジニアたちRe:BUILDの構成員でもないことからNPCだと分かる。



「どうしたんですか!?」


「ポケモンマフィアの“イタダキ団”の連中に襲われてるんです!」


「い、イタダキ団………?」


あぁー………昔で言うところのロケット団的な悪の組織か。

しっかし、イタダキ団って………名前安直すぎねぇ?


まぁいいや。



「「だーはっはっはっはっ!!」」


「だ、誰………?」


直後、何者かの笑い声が聞こえてくる。

一昔前の悪役の笑い声。

男女のものだが………聞いたことのある声だ。



それと同時に一組の男女が現れる。



そして、よく見たら女の方の影に隠れる小さな影も。




「なんだかんだと聞かれたら!」


「普通は答えないけど!」


「「出血大サービスで答えてあげるのが世の情け!!」」


「「「…………」」」


お馴染みの決め台詞を改変したような台詞。

清々しいレベルで狂ってる。


そして………後ろで隠れてる子以外は、もう誰かは分かってしまった。




「凄い!時代!未来!

白き世界に咲き誇る悪の華!リオ!」

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「最高最善!最大最強!

黒き世界に下す鉄槌!クルス!」

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「ぎ……ギンギンギラギラギャラクシー

灰色の宇宙が求めるファンタジー………

…………み、ミミッキュ仮面…………」

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「祝えっ!世界を統べるイタダキ団の我らには!」


「ショッキングピンク!桃色の明日が待っているっ!!」


「………きっ………きゅーー…………」



自慢の白いスーツに身を包み、色々と混じった決め台詞をぶちかますイタダキ団の女・リオと男・クルス………そしてリオの影に隠れる『ミミッキュ』のポンチョとお面を被る少年………ミミッキュ仮面。



…………って、こいつら何してんの?



「………理緒、だよね?」


「来栖、だよな?」


「「ちがーう!!」」


ノリノリな女は俺の仲間である村瀬 理緒(むらせ りお)。
男の方は俺たちの宿敵である来栖 黎人(くるす れいと)。

そこまではわかった。


そして……背後のミミッキュコスの正体はジニアがわかったようだ。



「おまえ………ジル、だよな?」 


「なっ、なんのことかな?

僕はミミッキュ仮面!

うん………ミミッキュ仮面だよ……………」


そう、ミミッキュ仮面の正体は、ジニアの息子であり、ノエルの兄……Re:BUILDのナンバー2である少年……ジル。


本人は否定しているつもりなのだろうが、もうそのリアクションでわかってしまう。



「はーっはっはっは!!

ボクたちはイタダキ団!

君たちのポケモンもらっちゃうよっ!!」


「すべてのポケモンを手中に納め!

我々が支配者となるのだァァァ!!

ヴァーハハハハハハハハハハ!!」


──普段通りと言うべきか狂ったと言うべきか。


リアクションが難しすぎる。



何このカオス。何この状況。



これは………絶対に笑ってはいけないポケモン24時ってやつなのか?
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