1話:ポケモンの世界になりました。

「ゴホン。では………」


勇騎さんは何故か白衣を羽織り、咳払い。

なんかやりたいことは薄々わかるけども。


「…………やぁ、ポケモンマスターを目指すポケモントレーナーの諸君!

私の名前はユーキド。みんなからはポケモン博士と慕われておるよ」


「おぉっ!初代の再現!」


「イヌヌワンッ!」


ここで理緒がかけていたメガネがずり落ちるほどの反応する。

そうだ、理緒はウルトラマンと仮面ライダーだけでなくポケモンも好きなんだっけ。


そして、タイミングよく俺のバイクに変形するわんこ、ヒメが勇騎さん……じゃなかった。ユーキド博士の肩に乗った。

しかし……なんか絵になるな。

元々このわんこ、ポケモンみたいな見た目、ていうかほぼほぼポケモンみたいなもんだしな。
鳴き声もそれっぽいし。



「これから行くキーユウ地方にはポケモンと呼ばれる生き物が至るところに住んでおる。

そのポケモンという生き物を人はパートナーにしたり、競い合わせたり………

そして、私はこのポケモンの研究をしているというわけだ。


カツトシ!ノエル!アキラ!リオ!ショウ!ノゾミ!セッテ!エイカ!」


「………カタカナ表記になるんなら“エイカ”じゃなくて“フェイト”がいい」


「………では、フェイト!今から君たちの物語が始まる!」

《ポケットモンスター!》

勇……ユーキド博士がガシャットのスイッチを再び押すと、俺たちの目の前に扉のようなものが現れる。


この扉をくぐればゲーム世界に入れる、と言ったところか。



「それじゃポケモンの世界へレッツラゴォゥ………!」

無駄に渋い声と無駄にかっこよく決めようとしたドヤ顔。

……だからそのドヤ顔を俺に向けるのはやめてくれユーキド博士。

ユーキド博士こと勇騎さんの謎のドヤ顔に困惑しつつ、俺たちは扉のドアノブに手をかけようとした。



………その瞬間だった。




バチッ!!


「あっつ!!」


突如、勇騎さんの持っていたガシャットから火花が飛び散り、勇騎さんは驚いて思わずガシャットから手を離してしまう。



「な、なんだよ故障かぁ………?」


少し驚いたが、俺は冷静にガシャットを拾おうとする。


しかし………………



「なっ、なんだこれ!?」


ガシャットから光が放たれ、その光はBATTOLERにいる俺たちどころか街中に広がっていく。


これは『ゲームエリアの形成』………というやつだろうか?



悠長に分析してる場合じゃない!



このままじゃ街がゲームエリアに侵食される!!




「わっ…………うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


突然のことで何をどうしていいか分からなかった。



光はだんだんと強さを増していき………俺たちを飲み込んでいった。


バグスターウイルスによる世界の侵食が始まったのだろうか。


もしそうだとしたら、勇騎さんとんでもないことやらかしてるぞ!!
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