1話:ポケモンの世界になりました。

───

「………全く。………あんたが余計なこと言うから」


「でも事実だろ………」


ジニアのせいでノエルが泣くもんだから落ち着かせるのにすごく時間がかかってしまった。

やっぱり自分のポケモンにしたかったのか………。


とにかく俺とジニアはゲッソリ。

ジニアは自業自得だが、なんで俺まで………。



「ぐすっ………もう、大丈夫」


「よかった………」


ホッと胸を撫で下ろす俺たちだが、ここでまた問題が。



「あの子たち………どうやったら、出てくるの?」


「……あぁ、それなんだがな」


ここでジニアがレクチャーに入る。

さすがにここまでヘトヘトになっていれば、ノエルをからかう気にもなれないか。



「ボールのボタン押して大きくするだろ?」


「……こう?」


ノエルは言われた通り、ボタンを押す。

すると縮小されていたボールが野球ボール大となる。


「そして上にかるーく投げる。かるーくだからな、かるー…………」


「えーいっ!」


そしてジニアが言い終わるか否かでノエルはフルスイングでモンスターボールを投げる。


ボールは俺の方に向かってくる。



「はっ!?

グエーーーーーーーッ!!」


ノエルの投げたボールは俺の股間のモンスターボール……否、ゴールデンボールにクリティカルヒット。


これが俗にいう“きゅうしょにあたった!”というやつである。


そんなこといってる場合じゃない!
ダメだ、地味に立っていられないほど痛い!


これは女の子には決して理解出来ぬ痛み。

涙が出てくるほど痛いやつだ。



「あー!!だーから最後まで人の話聞けって!!」


「うぱー!」


「………あ、出てきた。わーい!」


「…………よかったじゃねぇか」


ウパーをモンスターボールから出すことに成功してノエルははしゃぐ。

そしてそれを見てジニアも微笑む。


うん、やっぱり親子なんだ………このふたりは。


でも……………



「あぁぁぁぁぁぁぁ………!

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!


の、ノエル、ちゃん………ボール投げるんなら………フルスイングは、ダメだよ…………?」


「はーい………」


生返事をするノエル。

うん、ウパーとたわむれるのえるん……本当に可愛い。


でも………なんで俺めがけて投げたの!?


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