1話:ポケモンの世界になりました。

「ていうか、ノエル……お前、まだコイツらゲットしてないだろ?」


「ゲット?なにそれ?」


「………やっぱりな」


はぁ………とため息をつくジニア。

どうやらノエルはただ単にポケモンたちと仲良くなったってだけでゲットまではしていないようだ。


まぁ、ノエルが分かってる訳ないし、今みたいに俺がムチュールをゲットできるわけもないか。



「のえるん……ポケモンってのはさ、このモンスターボールってので捕まえなきゃ連れて歩けないの。
最悪他の人にとられちゃうの」


「そうなの?」


モンスターボールに入りたがらないピカチュウだとか、多少なりと例外はあるがだいたいはそんな感じだと認識してる。


だが、ここはあくまでもゲームの中。
他の誰かに奪われる心配はないだろうけども………



「私、ゲット……する」


「だってさ。ジニア」


「人をモンスターボール持ちみたいに言うな………ホラよ」


ジニアはこれまた呆れつつも小さくしたモンスターボールを6つノエルに渡す。


ノエルはそれを受け取り………



「まずはまんなかのボタンを押すの」


「こう?」


せめて俺が説明しないとな。

俺はノエルにモンスターボールの使い方の説明をしていく。
ただこのゲームのモデルになったアニメやゲームの知識でしかないが。


ノエルは俺の言う通り、モンスターボール中央のボタンを押すとモンスターボールは野球ボールくらいの大きさとなった。



「………おもしろーい」


「ちょっ!」


ノエルの顔がぱぁっと明るくなる。

そしてノエルはジニアから受け取ったボールを手当たり次第大きくしていく。



「ノエル!1個ずつ!1個ずつ使うの!」


「?……そうなの?」


「そうなの!……まぁ、いいや。
大きくなったボールをポケモンに投げるんだけど………」


「わかっ「「待て待て!!」」


ノエルは話を聞こうとせずにポケモンたちにフルスイングでモンスターボールを投げようとしたので俺とジニアで必死に止める。



「話を最後まで聞いてのえるん!

ここまで仲良くなったんなら投げなくていいから!

ポケモンたちに見せれば勝手に入ってくれるから!」


「わかった~………」


ようやく納得したのか、ノエルは大人しくなり、ポケモンたちに大きくしたモンスターボールを差し出す。


するとポケモンたちはそれぞれ6つのモンスターボールのボタンを押して自らモンスターボールに入っていく。


公式のゲームではおおよそ見られない光景だと思う。

そして捕獲完了をしめすようにモンスターボールのボタンが一瞬光る。



「………これでゲット完了だ。これでポケモンたちはみんな君のポケモンになったよ」


「…………やった♪」


はにかむように笑うノエル。

俺が知ってる、この子はあまり感情を表に出す子ではないのだけど頬の紅潮を見れば本当に喜んでいるのがわかる。


これで……ノエルとも一緒に旅が出来る。



「まっ、ムチュールだけ勝利がゲットしたから勝利のポケモンだけどな」


「そうなの……?」


「余計なこと言うんじゃねー!

あー!泣かないでのえるーん!!」


…………まぁ、前途多難なんだろうけどな。
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