1話:ポケモンの世界になりました。

「………みんな連れていきたいよね……?」


「愚問」


「知ってる」


……わかってはいるが一応確認。

やっぱりこの子はここにいるポケモンたちを全員連れていきたいとのこと。


そりゃそうだよね。みんな友達だもんね。



俺はノエルの友達になったポケモンたちを見てみる。

どの子もかわいい。しかも俺が大好きなムチュールもいる。



いいなぁ………俺も友達になりたいなぁ………。



「むちゅー……」


するとムチュールの方から俺のそばに近づいてきた。

その短い手足を使って俺の肩までよじ登ってくる。


かっ………かわいすぎるっ!





「ど、どうしたムチュール……」





ちゅっ





頬に触れる柔らかい感触。



そう、ムチュールは俺にキスをしたのだ。


俺は右手の拳を天高く突き上げ一言。




「……………我が生涯に一片の悔い無し」


「まだ早ぇよ」



…………おっと、そうだった。

ここで燃え尽きる……いや“萌え”尽きるのはまだ早い。


ジニアのツッコミを無視して果てるのも一興だが、やっぱりここで果てるのはもったいない。



「のえるん、ムチュールは俺が連れてくことにするけどいい?」


「………うん」


ショボーン(o´・ω・`o)

落ち込んでるときに使うであろう顔文字。


ノエルは確かに頷いてくれたけど、マジで今こんな顔してる。


かわいくて端から見れば笑えるのだろうが、罪悪感半端ない。



だが!これから俺はムチュールの親になるのだ!

ごめんよのえるん!今回はムチュール貰うわ!



「ジニア、ボール!」


「…………へいへい」


呆れ顔のジニアからボールを手渡される。



これが初ゲットか………

心がダンシングナイトフィーバー………

いや、心が踊るな!



「ムチュールちゃーん♪」


「むちゅ!」


左肩に乗ってるムチュールにモンスターボールを差し出すとムチュールはモンスターボールのボタンに手を触れる。


するとムチュールはモンスターボールに吸い込まれていき…………




「ムチュール……ゲットだぜ!

…………でいいのかな?」



「うん。………よろしくね」


ムチュールが入ったボールを見てはそう呟くとノエルは目に涙を一杯貯めていた。


そしてジニアは呆れたかのようにため息をつく。



「泣かないでのえるん!罪悪感がヤバい!!」


別に盗ったわけじゃないよね!?
俺悪くないよね!?


て言うかノエルちゃんポケモン6体いるし!!
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