1話:ポケモンの世界になりました。
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「「ぜぇ………ぜぇ………」」
草むらを抜け、到達した街は先程のムラセタウンより更に発展したような街であった。
とにかく広いし、建物も多い。
ただ、やはり田舎町なのか草木や花畑も見える。
街の入口の看板を見てみれば、そこには『マツモトシティ』と書いてある。
…………なんでポケモン世界の文字が読めるかって?
そもそも看板にはポケモン世界の文字ではなく、日本語が使われているからだよ。
「なぁ………思ったんだけどさぁ…………」
「………どうした?」
まさか、ムラセタウンから次のマツモトシティまでこんなに遠いとは………。
俺はジニアを睨み、一言。
「何が………こうそくいどう、だ……。
普通に、歩いていけば……よかったんじゃね?こんなに遠いんだから」
「……………だな」
ふたり同時に草むらに寝転ぶ。
草木の爽やかなにおい。
雲ひとつない澄み渡る空に、鳥ポケモンが空を舞う。
こんなのコンクリートジャングルである姫矢の街ではまず味わえない。
俺は大きく息を吸い、美味しい空気を味わう。
「………なんか、懐かしいよな……」
「…………?」
「もう、“先生”って呼ばないんだな……
……まぁ、いいけど」
「……………」
それを言われてしまえば、何も言えなくなってしまう。
俺は10歳の時、もとの世界で“被災”した。
突然現れた怪物が暴れだして、街の人間を皆殺しにした。
俺の母さんも、俺を残して死んだ。
それから救助もなく、身寄りもない俺は他の孤児たちと一緒に駅を転々としながら2年ほど街をさ迷った。
時には盗みもやった。そうするしかなかった。
大人はみんな頼りにならないし、俺たちを『汚い子供』と呼んでは憂さ晴らしの道具にだってした。
それが原因で死んだ仲間もいる。
そして大人たちに怯えながら暮らしてたある日、この男………ジニアが現れた。
───やっと助かった。そう思った。
あの時、差しのべられた手は………今でも忘れていない。
そして俺は……俺たちはこの男が院長をつとめる『霧継院 』の子供になった。
そう。だからこの人は……ジニアは俺の“先生”。
───もうひとりのお父さんなんだ。
「「ぜぇ………ぜぇ………」」
草むらを抜け、到達した街は先程のムラセタウンより更に発展したような街であった。
とにかく広いし、建物も多い。
ただ、やはり田舎町なのか草木や花畑も見える。
街の入口の看板を見てみれば、そこには『マツモトシティ』と書いてある。
…………なんでポケモン世界の文字が読めるかって?
そもそも看板にはポケモン世界の文字ではなく、日本語が使われているからだよ。
「なぁ………思ったんだけどさぁ…………」
「………どうした?」
まさか、ムラセタウンから次のマツモトシティまでこんなに遠いとは………。
俺はジニアを睨み、一言。
「何が………こうそくいどう、だ……。
普通に、歩いていけば……よかったんじゃね?こんなに遠いんだから」
「……………だな」
ふたり同時に草むらに寝転ぶ。
草木の爽やかなにおい。
雲ひとつない澄み渡る空に、鳥ポケモンが空を舞う。
こんなのコンクリートジャングルである姫矢の街ではまず味わえない。
俺は大きく息を吸い、美味しい空気を味わう。
「………なんか、懐かしいよな……」
「…………?」
「もう、“先生”って呼ばないんだな……
……まぁ、いいけど」
「……………」
それを言われてしまえば、何も言えなくなってしまう。
俺は10歳の時、もとの世界で“被災”した。
突然現れた怪物が暴れだして、街の人間を皆殺しにした。
俺の母さんも、俺を残して死んだ。
それから救助もなく、身寄りもない俺は他の孤児たちと一緒に駅を転々としながら2年ほど街をさ迷った。
時には盗みもやった。そうするしかなかった。
大人はみんな頼りにならないし、俺たちを『汚い子供』と呼んでは憂さ晴らしの道具にだってした。
それが原因で死んだ仲間もいる。
そして大人たちに怯えながら暮らしてたある日、この男………ジニアが現れた。
───やっと助かった。そう思った。
あの時、差しのべられた手は………今でも忘れていない。
そして俺は……俺たちはこの男が院長をつとめる『
そう。だからこの人は……ジニアは俺の“先生”。
───もうひとりのお父さんなんだ。