1話:ポケモンの世界になりました。

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「それじゃ…………まずはお前のポケモンの確保の前に、状況の整理からだな。

まずはこの世界に来てからの事を互いにシェアしようか」


ここは一番最初の街『コドータウン』の隣街である『ムラセタウン』。

ユーキド研究所と民家が2件しかなかったコドータウンよりかは少しだけ発展した街。


ここも自然に包まれた美しい街で民家も数件のみ。

しかし、ここにはポケモンのアイテムや俺たちの生活用品が買える『フレンドリーショップ』、
それからポケモンの回復やトレーナーの宿泊ができる『ポケモンセンター』もある。


俺たちの世界のポケモンセンターはポケモンのグッズを販売してるお店だったけど……ここはゲームやアニメの設定通りなんだな………。



俺とジニアは、ジニアのポケモンたちとヒメを回復している間、ポケモンセンターのロビーで状況の整理をしていた。


ちなみにポケモンセンターに来てから明らかになったのだけど、ここの世界ではヒメの存在は『ワンパチ』というポケモンとして認識されるようで試しにユーキド博士に押し付けられた空のモンスターボールに触らせた所、ヒメはモンスターボールに入ることができた。


ただ、俺たちの世界の時のように尻尾を引っ張ってもバイクには変形してくれなかった。


もしかしたらワンパチが使える技さえわかればヒメも技使えるかもな……この世界限定で。




「あぁ………勇騎さんの提案で勇騎さんが作ったポケモンのゲームで遊ぼうってなったんだ。

そしてそのゲームを入れたガシャットを起動したらなんか知らないけど故障しちゃって………」


「それがあの光ってわけか………」


はぁ………とため息をつけばジニアは頭痛薬を口に含み、ペットボトルのラベルに『おいしい水』とかかれたミネラルウォーターで流し込む。



「あの光?」


「あぁ………俺たちは姫矢の本社に居たんだが、光に包まれたかと思ったらこのムラセタウンにいた。

それからモンスターボールを買ってポケモンゲットしてたらお前を見つけて……って訳だが…………」


「しかし………通貨は俺たちの世界と同じなんだな」


じゃなきゃトレーナーですらない俺たちは買い物すら出来ないし旅に必要なアイテムも用意立てることはできない。



………そこはうまいこと考えたよな、勇騎さん。


俺は買ったばかりのサイコソーダというジュースを飲む。


ゲームでお馴染みのサイコソーダだが、意外と旨い。




「……そもそもポケモンならお前の方が知識あるんじゃねーのか、勝利?」


「いや………俺もそんな知識ねーよ?
ポケモンの弱点とか技とか把握してる訳じゃねーし。

ていうかあんた自分のポケモンの技把握してたじゃねーか」


「それならお前も見れるだろ」


「いやいや、そんなもんアンタだけだろうが……」


このジニアという男、その目で“視た”ものの“全て”を閲覧する能力を持っている。
きっと今回もその能力を使ったに違いない。

だが、ジニアはこれ以外にも沢山の異能を持っている。

しかし………この男はそのほとんどを使うことなく自分の実力だけで俺たちを圧倒している。



それがこの男の恐ろしい所………そして気にいらないところでもある。



「いや使ってねぇけど?」


「そうかよ………」


「なぁにふてくされてんだよ」


「……………別に」



あー……嫌なことばかり思い出す。

俺はサイコソーダを飲み干すと、今度はゲームではこれまた有名な“ミックスオレ”なるジュースを飲むのであった………。




「………あっ、旨っ」


初めて飲むが、これもまた旨し。
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