1話:ポケモンの世界になりました。

「だから言っただろ。
………俺はポケモンは愛でる派なんだよ」


なんかドヤ顔で言ってるけど、全然決まってない。

こんな状況で甘えてくるオオタチに表情筋が緩みきってる。



勇騎さん………じゃなくてユーキド博士といい、この男といいバカなのか!?




「あぁ、わかったよ。あんたに頼ろうとした俺がバカだった!」


ダメだこりゃ。

仲間になれば頼りになるかと思ったけど、これは典型的な『敵では強いけど仲間になったら弱くなる』やつだわ、コレ。


でもないものねだりしても仕方ない。

ヒメとオオタチとチリーンとエルフーン……今いるポケモンだけでこの状況打破できる術を考えねーと………。



「………ちょっと待って、エルフーンって“ねむりごな”使えなかったっけ?

あとチリーンは“さいみんじゅつ”」


「チリーンは“何故か”さいみんじゅつ使えるぞ。

エルフーンはねむりごなこそ覚えないがしびれごなならいける………


そうか!倒せなくても無力化するくらいなr」





「「「ピィィィカァァァァチュウゥゥゥゥゥゥゥ!!!」」」






「「アバババババババババババババ!!」」



そうだ。取り囲んでいるのに敵は待ってくれるわけない。

ピカチュウたちは全身から電撃を放ち、俺たち全員に電撃を浴びせる。



これがいわゆる“10まんボルト”というやつか。

なるほど、これは死ぬほどキツイ。



ロケット団は毎回毎回こんなの喰らってんのか………。



「待ってくれてても………いいじゃん」


「あ、あんまりだ…………」


電撃をくらい黒こげになる俺とジニア。

お互い情けない姿である。 

そしてちゃっかりポケモンたちは電撃を回避していやがる。

そして………ピカチュウたちはしてやったりといった感じの表情。


あぁ、なんとも情けない。



「リン………さいみんじゅつ。

モコ………しびれごな、だ………」


ピカチュウの10まんボルトをくらい虫の息のジニアがチリーンとエルフーンに技の指示を出す。


いや、遅い。
ピカチュウが10まんボルト出す前にやってほしかったものだ。


ていうかチリーンに『リン』、エルフーンに『モコ』って……。 
この人はニックネームつける派なのか。



「えるーふーーーーん!」


「りぃぃぃん………」


エルフーンからは背中の綿のようなものから黄色の粉が放たれ、チリーンからは音波のような波動が放たれる。


黄色の粉と波動が俺たちに追撃を放とうとするピカチュウたちを捉え………




「「「ぴっ………ピカ…………!」」」


「「「………zzz」」」


ピカチュウたちの無力化に成功した。


ちょっと遅かったし俺たちも虫の息だけどなっ!!
13/40ページ
スキ