2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

だが、ドラコンのお姉さんは…………


「やはり、完全に理性を奪われているか…………“バルディッシュ”」


《Rider Form》


何処からかともなく聞こえる音声。

ドラゴンのお姉さんが背中を向けているため、こちらからはよく見えない。



「っ!」


「それで私を出し抜けたとでも?……はぁっ!」


しかし俺の背後にいたヘルブロスの対処をする際に、ドラゴンのお姉さんがこちらを振り向いた瞬間、その手に握られていたのものが見えた。


セッテが変身するイージスの“ソレ”とはまた違ったもの。

そう…………“ゼクター”である。



しかし鳥のような形状をしていたイージスゼクターとは異なり、こちらは………なんだろうか……手に収まるくらいのサイズの刀……?いややじりだろうか。

そしてその中央にはクリスタルが輝いている。


そしていつの間にかドラゴンのお姉さんの腰には銀色のベルト。



なるほど………これもセッテと同じく『マスクドライダーシステム』をベースにしたライダーシステムか。


『マスクドライダーシステム』とは、ネイティブと呼ばれる地球外生命体が自分たちの保護させる代わりに人間に作らせた昆虫型コアと、それと対になる端末やツールを用いて装着される対ワーム戦闘用パワードスーツである。

二段変身とクロックアップなる高速移動手段をもち、おそらくマスクドライダーシステムが昆虫を模しているのは昆虫を人間サイズまで巨大化させることで恐ろしい力を叩き出すということと、それを作ったネイティブと呼ばれる者たちが虫の姿をしていたからだろう………



…………と勇騎さんが言ってた。



ただ例外としてカブトムシを思わせる装飾を持つ大剣『パーフェクトゼクター』と呼ばれるものもあるが、それは武器として用いられている。


…………一度俺もみたことがあるが、どうみてもカブトムシというよりは虫取り棒だった。虫がとまるしな。


勇騎さん曰く、先ほど述べたことの他に、マスクドライダーシステムは“脱皮”する以上、ゼクターのモチーフ昆虫以外あり得ないと聞く。

しかし、セッテのイージスどころか虫取り棒の前例だってある。

そもそも既存のマスクドライダーシステムからして脱皮キャストオフすらしないパンチホッパーやキックホッパーだっている。

憶測だが、ドラゴンのお姉さんの持つゼクター………お姉さんの言葉を借りるなら『バルディッシュゼクター』だろうか………も何かしろオリジナルのマスクドライダーシステムにないギミックが搭載されていると見て間違いない。

セッテはガイアメモリとの連携を図った複合ライダーシステムだったが、ドラゴンのお姉さんは…………



「変身………」


《HENSHIN》


そしてドラゴンのお姉さんはバルディッシュゼクターなるコアユニットを装填。

彼女の体がスーツに包まれて行く。


黒のインナースーツに、手足の黄色のグローブのような装甲。

一角獣のように前方に伸びる角と頭部と一体化して後方へ流れる二本角。

そして黒と黄色に彩られたメットパーツ。


似ていると思っていたセッテのシステムとも、ノンたんのシステムとも違う、孤高の戦士の如き姿。


これが彼女のもうひとつの姿…………





「なっ、なんなんだお前はァ!?」



ドラゴンのお姉さんの強さを目の当たりにし狼狽えるアシッドローグ。



俺が知るあのいけ好かない“破壊者”なら『通りすがりの仮面ライダーだ!』と答えるところだ。



しかし、彼女はそんなアシッドローグの言葉に答えるように、凛とした声でいい放った。





「私は一角獣と雷光の力を併せ持つ者………仮面ライダーユライト」
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