プロローグ:なんか希望の担い手(屑)を撥ねました……ってなにやってんの!?

「さて。これで“材料”は揃ったな。

────さぁ、実験を始めようか」


ジニア様は椅子から立ち上がり、カプセルを片手に銀色のオーロラカーテンを発生させる。


どうやら私が持ち帰ったノゾミ・ナカムラの血液サンプル内の遺伝子を元に何かを作るつもりなのだろうか。


だが、ジニア様にとっては、あの小娘など特別警戒する必要のない取るに足らない存在のはずだ。

実際、眼中にすらないとも言っていた。



それなのになぜ、あの小娘なのだろうか?




「………来栖、気になるか?」


まるで心を読んでいたかのように、ジニア様が一言。


私は思わず困惑してしまう。



「……いえ。ただジニア様が今更あのような小娘に興味を持つとは思わなくて」


「アイツ自身には興味はねぇよ?」


「それならば何故…………」


「……着いてくれば分かる」


“着いてくれば分かる”。

その言葉と共にジニア様がうっすらと笑った気がした。


そして…………オーロラカーテンが私とジニア様を包みこむと、眩い光が視界を覆った。
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