2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!

………アァァァァァァ……………!!」


デビルスチームを浴びせられ、勇騎さんの姿は変質していく。

その姿は俺も見覚えのある姿。


………そう、リベルに似ている。


て言うかスマッシュとか言いながらリベルそのものなんだよ。



二本角で宝石を模したアーマー。

しかし、複眼も含めて全てが真っ黒に汚染されている。



これが………勇騎さんのスマッシュとしての姿っていうのかよ!?



「どうだ………椿勝利ィィ………!

これが私だけが産み出せる最強のスマッシュ……“アシッドスマッシュ”。


そして、呼道勇騎から産み出されたこいつは……リベルアシッドスマッシュだ………!」


真っ黒に染まったリベル……いや、リベルアシッドスマッシュは俺の首を掴み俺を無理やり立ち上がらせる。



「………ゆ、勇騎さん………!!」


「ハハハ!無駄だァァ!アシッドスマッシュになったが最後!この私の傀儡と成り果てる!それこそ死ぬまでなァァ!

アーッハッハッハッハ!!ヴァーハハハハハハ!!!」



………なんでだよ。


なんでこうなるんだよ。



やっと本当の意味で仲間になれたばっかりなのに。

なんで…………



「グォォォォォ!!!」


「っ!!」


しかし、そんな俺の想いなど届かない。

リベルアシッドスマッシュは俺の体を地面におもいっきり叩きつける。



「ガハッ………!」


内臓がやられたのか真っ黒な血を吐き出す。

目の前の黒きリベルは尚も俺に殺意を向ける。


ちょっと前までは俺の方がこんな感じだった。

全てがどうでもよくなって自棄になって……

そんな俺を立ち直らせてくれたのが、俺を仲間に戻してくれたのが勇騎さんだったんだ。



それなのに………



「くっそぉぉぉぉ…………!」


「アハァァ………それだよォ!」


黒いリベルの姿が滲んでいくなか、奴の声が聞こえる。


アシッドローグは飛蝗か蛙のように凄まじい跳躍を見せ、地面に押さえつけられる俺のそばに来ると俺の顔を覗きこむ。





「その顔が見たかったァァ…………


屈辱の涙に歪む、その顔が。



アヒャヒャヒャヒャヒヒャ!!

アァァヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャァァァァァァ!!」


仮面越しからでも分かってしまう。

勝ち誇るあまりその顔が悪鬼のように醜く歪んでいることが。


力さえあれば。変身さえ出来れば。


このクソヤロウをぶん殴れるのに。



しかし、それはかなわない。



俺はその無力さにうち震えるしかなかったのだ。
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