2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

────VALZ SIDE───

「くっそ………!」


来栖さんもエクスライザーで変身するとは思っていたが、やはりいざ対面すると焦りに支配されそうになる。

緑の装甲に黒いローブを纏った体。
脳を思わせるエングレービングが頭部に施されており、顔には蝙蝠を思わせる仮面が貼り付いている。
そして、胴体から肩にかけてパイプのようなものが伸びている。


ナイトローグをベースにブレンロイミュードが融合したエクスキメラ……『アシッドローグ』。


Re:BUILDと戦いはじめて半年。
俺は何回かこの姿を見ているが、この姿になった来栖さんは確かに強かった。



「来ないのかァァ………?」


《エレキスチーム!》


いつの間にか握られていた短刀型の武器『スチームブレード』を構えるとバルブを回しその刀身に電撃を纏わせる。



───ヤバい、来る!!



「はぁっ!!」


「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」


その瞬間振るわれる電撃を纏った斬撃波。


まさに雷が落ちたような衝撃。


大地を揺るがす衝撃とエネルギーのスパークによる爆発で俺たちの体は宙を舞う。



「「ぐっ!!」」


勢いよく地面に叩きつけられる。


参った、本当に参った。


変身出来ればもう少しまともに戦えたはずだ。

しかし、今の俺たちはただの人間。


………力のない無力な人間。



「はぁ………はぁ………

やべー………こりゃあれだな………

プリティ★のぞみんに浮気したバチが当たったかなぁ………?」


「勘弁してくれ………天罰なら、ひとりで受けろ………

はぁ………はぁ………

俺まで、巻き込むなよ………」


「ははっ………そういうなよ、勇騎さん。あんたと……俺の仲、だろ………?」


空を仰ぎ見ながら俺と勇騎さんは軽口を叩く。


………あぁ、そうだったよな。


死ぬときってこんなに呆気ないんだったよな。



ノエルや亨多はちゃんと逃げ切っただろうか?

孟は、他の仲間たちは無事だろうか?


心残りはある。でももう………。




「………誰が楽に死なせるとでも?」


しかし、奴は俺たちに呆気ない死を許しはそない。


アシッドローグは勇騎さんの体を掴み無理やり立ち上がらせる。



「ゆ…………勇騎……さん………!」




「最高のショータイムだ…………




呼道勇騎ィィ!!

スマッシュになれーーーーーーッッ!!!」


《デビルスチーム!》


スチームブレードから放たれる黒い蒸気。

それは勇騎さんの体を包み込んでいって…………



「ぐっ…………!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「勇騎さん………

勇騎さぁぁぁぁぁぁん!!!」


俺の叫びも空しく、悪魔の蒸気は勇騎さんに浴びせられていったのだ。
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