2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

渾身の力で放つ拳。

先輩ライダーたちの想いを込めた一撃。




しかし…………




「…………っ!」


俺の拳はいとも容易く受け止められてしまう。

まるで俺たちの覚悟など否定するかのように。



「なるほど。“想い”とやらが込められた真っ直ぐな拳だ。

だが…………」


《VIOLENCE!UNICORN!MAXIMUM-DRIVE!!》


「………そんなもので、この私を倒せると思うな……!」


いつの間にか腕のマキシマムスロットに装填されていた2本のガイアメモリ。

奴の腕に纏われた青い炎が螺旋状に渦を巻く。

そして貫通力と膂力が極限にまで引き上げられた拳が俺の体に叩き込まれる。



「ぐっ………!」


───これが、“絶望の担い手”の力。

確かに、今までのコイツとは比べ物にならないくらいに強い。



無論奴はこちらに反撃の隙など与えてはくれない。



《EGG!CHICKEN!OYAKO-DON!MAXIMUM-DRIVE!!》


「………っ!しまった!!」


発動するのはいつからか奴が決め技に多様するようになったあのメモリ。

2つの記憶がひとつのデバイスに内包されたあの力。


───そう、それは圧倒的な力で捕らえたものを粉砕する“破壊の牢獄”。



「くそっ!!」 


どんぶりを模したエネルギー体に捕らえられ身動きを封じられてしまう。


完全に読み間違えた。

エターナルさんとジョーカーさん、ふたりのガイアメモリを使うライダーによりガイアメモリの力を極限を超えて引き出せるのがあの姿だと俺は考えた。


それはおそらく当たっている。

しかし俺は使ってくるのはより兵器としての性能に特化したT2ガイアメモリに限られると踏んだのだ。



それが間違いだった。


あのエッグ&チキンメモリは2つの記憶を内包しそれを混ぜ合わせることで更に力を引き上げるメモリである以上、その出力は次世代型のT2ガイアメモリをも凌駕する。


そして通常形態のディスペアーですらフルパワーで使えば、あの岩石大首領という規格外の化け物ですら一撃で沈めることが出来てしまうのだ。


それが更に強化されれば…………



「………砕けろ」


直後全身が凄まじい熱気に晒される。

それはまさに“灼熱地獄”。


岩石大首領ですら脱出出来ずに一方的に葬られた以上、凄まじい攻撃力とターゲットに脱出を許さない堅牢さを兼ね備えているのは明白。


これを脱出するには呼道のリベルオーミネーションのような規格外のパワーが必要な訳だが、生憎俺のクロスにはそんな火力はない。


そしてその攻撃に耐えるだけの防御力も。



おそらくクウガさんとストロンガーさんの力をお借りした『ライジングチャージャー』なら耐えられる確率は少しあるかもしれないが…………その姿になるにはベルトから交換しなければならない。



────やられた。


おそらくジニアの入れ知恵だろうが、ライジングチャージャーを使わせないために……俺の手数に制限をかけるために俺にクロスアームドを使わせたんだ。



「くっそぉぉぉぉ………!」


やがて時間切れを告げるようにエネルギーが圧縮され炸裂する。


凄まじい爆音と共にクロスアームドで装備された追加装甲が完全に粉砕される。



自信も覚悟も戦う力も気力も体力も……

そして心と体を繋ぐ意識さえ。



俺の体から根こそぎ奪っていったのだ。
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