2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「ぐっ………!」


竜巻により上空に打ち上げられた俺。


あまりにも強力な竜巻により上下左右すら分からなくなる。


しかし、このままやられっぱなしの俺ではない。



《スカイ!ダブル!》


「スカイライダーさん!ダブルさん!凄まじき風の力!お借りします!!」


《クロスアームド!ターボサイクロン!》


長きライダーの歴史ではじめて空を飛んだとされる『スカイライダー』さんと、俺の師匠である左さんとその相棒であるフィリップさんの二人で変身する『ダブル』さんの力がクロスドライバーXに宿る。


その瞬間、緑の嵐が吹き荒れ奴の竜巻を掻き消してしまう。


そしてクロスオリジンとなっていた俺の体はクロスオリジンをベースにライトグリーンの風そのものを表現したようなアーマーが装着され、複眼が黄色く染まる。


基本形態となっているダブルサイクロン以上に風の力を操ることに特化したクロス………『クロス・ターボサイクロン』。


これが先輩ライダーたちから託された想いを具現化した姿だ。



「今度は…………こっちの番だ…………!!」


スカイライダーさんの持つ重力低減装着の効果により浮遊し、ダブルさんのサイクロンメモリの力を発揮し、突風を発生させ空を滑空する。


これが空を制するクロスの力。


………奴らから先輩ライダーたちの力と人々の平和を取り戻すための力。



「はぁっ!!」


突風により加速しつつ、クロスカリバーを何度も振るう。


一見奴を翻弄しているように見えるが、手応えがない。



「…………」


よくよく見てみれば、奴はギリギリまで引き付けてそれを剣やそのマントで受け流しているではないか。

そして自身の動きとダメージを最小限に抑えているのか………!



………こいつ………化け物か………!



「赤津 将………良いこと、教えてやろうか?」


《LUNA!ROCKET!MAXIMUM-DRIVE!!》


俺の攻撃を捌きながら淡々と2本のガイアメモリを装填し、悠長に話しかける。



「………このライダーたちは、私に力を使われることを選んだようだぞ?」


仮面越しから分かる奴の圧倒的な殺気。


そして……いつの間にやら追い越され、今では埋めることすら叶わなくなった俺と奴との間にある実力差。


“幻想の記憶”を内包する黄色の『T2ルナメモリ』と“ロケットの記憶”を内包する緑の『T2ロケットメモリ』を装填した奴はルナの力で追尾機能を追加したミサイル弾を数発放つ。


「っ………!!」


俺は咄嗟に攻撃をやめるとミサイルの回避に徹するがどれだけスピードをあげても、どれだけ回避してもまるで俺の動きを読んでいるかのように追尾してくる。



「ぐっ……あぁぁ!」


ついに避けきれなくなり、ミサイルが全弾命中すると俺の体は地面に叩きつけられる。



「どうだ?………これで………」


「わりぃな………!」


ライダーとしてのスペックでも、変身者としての力量の差でも。

まるで勝ち誇ったかのように奴は俺を見下し、刃を向ける。


“お前に勝ち目はない”。
“お前では勝てない”。


そう、言いたげに。


俺は仮面の下で奴を睨み返すと奴が突きつけた刃を握りしめる。


握りしめた手のひらから血がにじむ。




それでも…………!





「エターナルさんとジョーカーさんがお前に使われることを選んだって………?

………そんなことあるわけ………ねぇだろ!!」



先輩ライダーたちは皆、瞬間瞬間を必死に生きてきた。

時には破天荒に、時には気ままに。


それは“歴史の管理者”の手にすら収まらない生き様。


………そしてそれは始まりの“仮面ライダー”が護ろうとした人間としてあるべき姿。



それこそが“自由”。



支配により“自由”を汚すものと戦う力を、
人が人らしく生きる自由を護る力を“継承”してくれた先輩ライダーたち。


そんな方々が………人から自由を奪うような連中に力を貸すわけがない。

ましてや、その身に余るチカラを手に入れ増長しているだけの奴に。




「……………おぉぉぉぉぉぉ!!!」



俺は奴の剣を握りつぶすと渾身の力で奴に拳を振るうのであった。
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