2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

武器を構えたまま、硬直。

強化されたディスペアーの出方を伺っているのだ。


固唾をのみ、瞬きする間もなく奴を睨む。


互いの間合いはいわば“剣の結界”。

下手な動きをすれば………いや、少しでも集中力を切らした方が先に死ぬ。



「来ないのか?ならば、こちらからいかせて貰う………」


奴は元々装備していたディスペアーサーベルを構え直す。


油断なんかしているつもりはなかった。しかし…………




「っ!?」


────その瞬間、胸部に走る鋭い衝撃。



「ぐっ…………!」



胸部の装甲が溶断され、血が滲む。


ここに来てようやく俺は奴の剣により胸を切り裂かれた事実を知るのだが………



「速すぎる………!」


そう、とにかく速い。

速さもそうだが、その攻撃力も先ほどの通常形態とは比べ物にならないくらいに強化されてやがる。



「なるほど。確かに奴の発明も悪くはないな………」



エターナルさんとジョーカーさんの力を手にいれ、自らの変化した体を眺めるディスペアー。

敵である俺がいるというのに余所見しているその様子は余裕すら感じられる。



「てめぇがジョーカーさん………いや、左さんの力を使ってんじゃねぇよ…………!!」


奴が使ったカプセルには俺にライダーとしての覚悟や矜持を授けてくれた“師匠”、『左 翔太郎(ひだり しょうたろう)』さんがひとりで変身する“仮面ライダージョーカー”のものがあった。


たったひとりで並々ならぬ覚悟と共に変身したその姿を………孤独に堪え忍びながら戦う孤高の英雄としての姿を………

あんな悪党に使わせる訳にはいかない………。


これ以上!あんな奴に師匠の覚悟を冒涜させてたまるか!!


俺はクロスカリバーにダブルさんのアンプルを装填する。



《ダブル!ジョーカーサイクロンスライサー!》


「はぁぁぁぁぁ…………!でやぁぁぁぁぁ!!」


刀身に宿る緑と紫の螺旋状のエネルギー。。


俺はクロスカリバーを横凪ぎに振るうと、周囲のものを飲み込みながら力の塊となった竜巻となり巨大化しながら奴に襲いかかる。




「…………この程度か」



《CYCLONE!MAXIMUM-DRIVE!!》



奴は端子が青色でボディが緑色の“疾風の記憶”を内包したガイアメモリ『T2サイクロンメモリ』を取り出しディスペアーサーベルに装填。

竜巻を発生させると俺が発生させた竜巻にぶつける。




そして…………




「なっ!?うわぁぁぁぁぁ!!」


奴の竜巻は俺の竜巻をも飲み込み更に巨大化し、俺の体を飲み込んだのだ。
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