プロローグ:なんか希望の担い手(屑)を撥ねました……ってなにやってんの!?

「ぐっ!!」


爆炎の中から放り出される来栖。


もはや火だるまになるのも様になってる気がする。


そしてこのあとに『覚えてろ!』という三下並みの決め台詞と共に撤退する。


ここまでが黄金パターン。


どうせ今日もそうなるって思ってた。




だけど…………



「ふふふ………」


今日はなんか笑っていた。


まるで勝利でも確信したかのように。



「何がおかしいのさ!」


「………お前たちは勝ったと思っているだろうが、残念だったな。

我々の目的は果たされた………!」


「待て!!」


それだけ言ってニヤリと笑みを見せると来栖は空間移動の効果がある銀色のオーロラを生成し、その中へと消えていった。



「…………ったく。なんだったんだ……?」



「ホント、なんだったのかな……?」




私たちはただただ困惑していた。



だってそうでしょう?


確かに少し血は吸われたけど、
普段通りに戦って、普段通りに敵を倒して
普段通りに撤退させた。


もはや見慣れた明らかに普通じゃない普通の光景。普通のやり取り。普通の日常。


しかし、すぐさまそれがただの慢心だったことを思い知らされることになるとは、これから起こる戦いの始まりになろうとは誰が考えつくだろうか。





そして…………



この戦いが、私にとって長きに渡る不遇の日々の、ほんの始まりに過ぎないことを当時の私は全くわかっちゃいなかったのだった。
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