2話:魔法少女としてがんばります!……ってどおしてだよォォ!!

「遅い遅い」


まずは一閃。全力で剣を振るうが私の剣は届かない。

エネルギーの奔流が私とギンガの間に干渉して剣による攻撃を防いでいるのだ。



「はぁっ!でやぁっ!」


何度も何度も剣を振るう。しかしことごとく私の剣はいなされてしまう。



「オイオイ………話になんないなァ」


攻撃をいなされ、片手であしらわれ………

私の、奴らへの怒りは最高潮に達する。


しかし………



「お得意の魔法の力のごり押しはどこいったの、さっ!!」


私の隙をつくかのように力の奔流を片手に集め、私にぶつける。


一瞬のことで防御も回避も出来ず吹っ飛ばされ、何十メートルも吹っ飛ばされた後、鉱山に叩きつけられる。



「落ち着いて!ノゾミちゃん!」


「うるさいっ!!」


私を心配して駆け寄ってきたローズを突き飛ばせば、私はガイアメモリを取り出す。


それはウェズペリアで生まれた特殊なメモリ。

この子“たち”も大切な仲間。


《CAROL!MAXIMUM-DRIVE!!》


そのメモリ………『キャロルメモリ』を装填しては更に私の能力であるニューシードによりその威力を増幅させる。

ニューシードは私の全身を走る粒子を放出しあらゆるものに作用させることであらゆる効果を引き起こす。

こんな風に攻撃の威力を底上げすることも。



「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!」


放たれる膨大な威力の火炎弾。

その炎は威力の底上げにより深紅から青白い炎へと変わっている。



「はぁ…………」


今、この時を振り替えると私は奴らへの怒りや憎しみにとられていたのだと思う。


ギンガは…………いや、ジルはそれを見透かしたかのようにため息をつくとその火炎弾を全て片手でいなしてみせたのだ。



「あのさぁ………“その程度の力”で勝てると思ってんの?」


あからさまに私を挑発するような言葉。


安い挑発だ。普段の私ならこんな挑発乗るわけがない。



でも……ウェズペリアが飲み込まれ、家族や友人を失い、相棒たちも消えようとしている。

そんな不安と奴らへの怒りが私から冷静な判断を奪ったんだ。



ジルもそれを理解した上で敢えて乗るはずもない安い挑発をかましてるんだ。




そして…………




「いいよ………見せてあげる。私の全力」



私は………奴の思惑通り挑発に乗ってしまった。
21/84ページ
スキ