1話:魔法少女始めました!……ってなんのこと!?

───仮面の下で汗が滴る。


真冬だというのに、剣を握る手も汗ばみ呼吸も荒くなる。


この感覚は知っている。そしてもう慣れたと思っていた。



数多の世界が混ざりあいあらゆる怪物が蔓延り、あらゆる戦士がしのぎを削る魔法世界・“ウェズペリア”。


私が……いや、私たちがあの世界で生きていくには力が必要だった。



───殺らなきゃ殺られる。

それが暗黙の了戒。そして絶対の真理。



甘さを見せるなんてもってのほか。



“敵”は倒す。何があっても容赦はしない。


でなきゃ私も………仲間も護れない。



でも、なんでだろう。
最近……特に勝利くんたちと合流して
色んな人たちと出会うようになってから、
“余計なこと”ばかり考えるようになった。


ホントに“それ”だけでいいのかって。

私の心はそれで納得してるのかって。



───ホラ、今だって考えてる。



「あら~!来ないの~~?こっちから行くわよ~~ん!!」


IKKO擬きのサメ型機械人形………確か『メガロマギア』だっけ?……はその両腕から伸びたカッターを構えたと思ったら、私の眼前から…………消えた!?



「えっ!?……っ!! 」


一瞬の事だった。

背中に強い衝撃と焼けるような鋭い痛み。


その鋭い痛みにより、背中を腕のカッターで十字に切り裂かれたことを悟ったのはその一瞬後だ。



「すっからけっち~~~~!!!」


「きゃあああ!!」


体制を立て直さねば。
しかし、奴はそれすら許さない。


珍妙な雄叫び(?)に削ぐわぬ重厚な蹴りが私の体を紙屑のように吹き飛ばしたのだ。
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