4話:今!(この世との)別れの時~♪(あの世へ)飛び立とう~♪……って、黙れや!!
「え………?」
言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
セッテちゃんだけでなく、ノゾミちゃんも追い詰められていたことは知っていた。
でも、まさかこんな短期間にふたりも……。
セッテちゃんひとりすら助けるどころか追い詰める結果になったのに、ノゾミちゃんまでとなるともうボクたちではどうすることも出来ない。
ボクはどうしていいかわからず、助けを求めるように勝利くんの方へと顔を向けた。
「そっか……」
勝利くんは一言ポツリと呟いた。
まるでこうなることを分かっていたかのように。
まるで何かを諦めてしまったかのように。
ボクや千花ちゃんと違って動揺することなく、ただただその言葉を聞き入れると千花ちゃんの方へと向き直る。
「わかった……。俺たちも一緒に探す」
「ありがと!お願い!」
立ち上がる勝利くん。
人数分の傘を用意すると千花ちゃんやボクに渡すと、何か言いたそうに千花ちゃんを見る。
不思議そうに見つめる千花ちゃん。
少しの沈黙の後、勝利くんが重い口を開く。
「なぁ……千花はノンたんと一緒に暮らしたいよな?」
「え……?」
「ノンたんを連れ戻したらさ、千花のアパートでノンたんとふたりで暮らすってのはどうだ?」
勝利くんの口からでたのは思わぬ提案。
それは千花ちゃんにノゾミちゃんを預けるというものだった。
「何て言うか……ノンたんもああいう状態だろ?
もちろん、俺たちもノンたんが馴染めるようにするけど、それでもやっぱり千花と一緒にいるときが一番アイツも落ち着けるみたいなんだ。アイツもそれを望んでる」
もっともらしい言葉。
勝利くんもこれまでにないくらいに言葉を選んでいる。
しかし、それは綺麗な言葉で飾られた丸投げの意思表示。
そのバツの悪そうな顔や決して千花ちゃんと視線を合わせようとしない様からも分かるだろう。
でも……ボクも勝利くんの立場ならきっと同じようなことを言っていたに違いない。
だから、勝利くんひとりを責めることも出来ない。
勝利くんはただでさえノゾミちゃんたちが来てから寝る間もないほどに無理をして勇騎さんやボクの手伝いをしてくれている。
それだけでなく、ここのところノゾミちゃんの横暴な言動や単独行動も目立つようになった。
これはあくまでも推察にすぎないが……
本来ならノゾミちゃんの自業自得という形であの子を切り捨てることだって出来たはずだ。
でもそれをギリギリまで勝利くんも我慢していたのだろう。
それは同じ仮面ライダーだから。
同志だと信じているから。
ノゾミちゃんには言葉でいうほど『仲間』という意識は感じられないのに、だ。
今まで沈黙を守って話を聞くことに徹してきた千花ちゃんがその口を開く。
「それいいねっ!」
「千花……」
ボクや勝利くんの不安をよそに千花ちゃんは屈託のない笑顔を見せてくれた。
先ほどまで今にも泣き出しそうな顔をしていたのに。
──本当にノゾミちゃんのことが好きなんだ、この子は。
「正直さら不安だったんだよね。
アタシもこれからどうしていいかわかんなくてさ。
きっとひとりになったら色々考えちゃうし…アタシもノゾミお姉ちゃんと一緒がいいな!」
「「………」」
視線を落とし、自らの包帯が巻かれた腕に視線を落とす。
千花ちゃんにとってこの腕の怪我は自身が人外であることを証明するものだ。
千花ちゃんもまた一点の光も見えない闇の中にいる。
みんな闇の中で光を探してもがいているんだ。
それは勝利くんも、ボクも……それからノゾミちゃんも変わらない。
そのはずなのに。
「……そっか。なら早くノゾミちゃん、連れ戻さないとね」
「うんっ!」
出来る限り笑顔を作り、千花ちゃんに笑いかける。
自分では笑ってるつもりだった。
でも笑ってるかなんてわかんない。
……ボクも勝利くんも、もう疲れてしまったのだ。
日に日にボクたち仮面ライダーを取り巻く状況も悪くなるばかりで、ボクたちライダー同盟からも死者が出ている。
そんな状況では、とてもノゾミちゃんの事まで手が回らない。
そんな余裕など、どこにもないのだ。
だから千花ちゃんを利用する形で、厄介者のノゾミちゃんを押し付ける。
『ノゾミちゃんを追い出したいのではなく、あくまでもノゾミちゃんと千花ちゃんの為に千花ちゃんにノゾミちゃんを託す』。
……そんな建前を掲げて。
勝利くんは辛そうに俯きながら黙っている。
そんな姿を見せられてしまえば、ボクもそれ以上何も言えなくなってしまった。
言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
セッテちゃんだけでなく、ノゾミちゃんも追い詰められていたことは知っていた。
でも、まさかこんな短期間にふたりも……。
セッテちゃんひとりすら助けるどころか追い詰める結果になったのに、ノゾミちゃんまでとなるともうボクたちではどうすることも出来ない。
ボクはどうしていいかわからず、助けを求めるように勝利くんの方へと顔を向けた。
「そっか……」
勝利くんは一言ポツリと呟いた。
まるでこうなることを分かっていたかのように。
まるで何かを諦めてしまったかのように。
ボクや千花ちゃんと違って動揺することなく、ただただその言葉を聞き入れると千花ちゃんの方へと向き直る。
「わかった……。俺たちも一緒に探す」
「ありがと!お願い!」
立ち上がる勝利くん。
人数分の傘を用意すると千花ちゃんやボクに渡すと、何か言いたそうに千花ちゃんを見る。
不思議そうに見つめる千花ちゃん。
少しの沈黙の後、勝利くんが重い口を開く。
「なぁ……千花はノンたんと一緒に暮らしたいよな?」
「え……?」
「ノンたんを連れ戻したらさ、千花のアパートでノンたんとふたりで暮らすってのはどうだ?」
勝利くんの口からでたのは思わぬ提案。
それは千花ちゃんにノゾミちゃんを預けるというものだった。
「何て言うか……ノンたんもああいう状態だろ?
もちろん、俺たちもノンたんが馴染めるようにするけど、それでもやっぱり千花と一緒にいるときが一番アイツも落ち着けるみたいなんだ。アイツもそれを望んでる」
もっともらしい言葉。
勝利くんもこれまでにないくらいに言葉を選んでいる。
しかし、それは綺麗な言葉で飾られた丸投げの意思表示。
そのバツの悪そうな顔や決して千花ちゃんと視線を合わせようとしない様からも分かるだろう。
でも……ボクも勝利くんの立場ならきっと同じようなことを言っていたに違いない。
だから、勝利くんひとりを責めることも出来ない。
勝利くんはただでさえノゾミちゃんたちが来てから寝る間もないほどに無理をして勇騎さんやボクの手伝いをしてくれている。
それだけでなく、ここのところノゾミちゃんの横暴な言動や単独行動も目立つようになった。
これはあくまでも推察にすぎないが……
本来ならノゾミちゃんの自業自得という形であの子を切り捨てることだって出来たはずだ。
でもそれをギリギリまで勝利くんも我慢していたのだろう。
それは同じ仮面ライダーだから。
同志だと信じているから。
ノゾミちゃんには言葉でいうほど『仲間』という意識は感じられないのに、だ。
今まで沈黙を守って話を聞くことに徹してきた千花ちゃんがその口を開く。
「それいいねっ!」
「千花……」
ボクや勝利くんの不安をよそに千花ちゃんは屈託のない笑顔を見せてくれた。
先ほどまで今にも泣き出しそうな顔をしていたのに。
──本当にノゾミちゃんのことが好きなんだ、この子は。
「正直さら不安だったんだよね。
アタシもこれからどうしていいかわかんなくてさ。
きっとひとりになったら色々考えちゃうし…アタシもノゾミお姉ちゃんと一緒がいいな!」
「「………」」
視線を落とし、自らの包帯が巻かれた腕に視線を落とす。
千花ちゃんにとってこの腕の怪我は自身が人外であることを証明するものだ。
千花ちゃんもまた一点の光も見えない闇の中にいる。
みんな闇の中で光を探してもがいているんだ。
それは勝利くんも、ボクも……それからノゾミちゃんも変わらない。
そのはずなのに。
「……そっか。なら早くノゾミちゃん、連れ戻さないとね」
「うんっ!」
出来る限り笑顔を作り、千花ちゃんに笑いかける。
自分では笑ってるつもりだった。
でも笑ってるかなんてわかんない。
……ボクも勝利くんも、もう疲れてしまったのだ。
日に日にボクたち仮面ライダーを取り巻く状況も悪くなるばかりで、ボクたちライダー同盟からも死者が出ている。
そんな状況では、とてもノゾミちゃんの事まで手が回らない。
そんな余裕など、どこにもないのだ。
だから千花ちゃんを利用する形で、厄介者のノゾミちゃんを押し付ける。
『ノゾミちゃんを追い出したいのではなく、あくまでもノゾミちゃんと千花ちゃんの為に千花ちゃんにノゾミちゃんを託す』。
……そんな建前を掲げて。
勝利くんは辛そうに俯きながら黙っている。
そんな姿を見せられてしまえば、ボクもそれ以上何も言えなくなってしまった。