1話:魔法少女始めました!……ってなんのこと!?

「な、なななななな何を言ってる………。

どう見ても完璧な戦闘用ヒューマギアではないか。

な、何をバカな………」


うん、声が上擦ってる。明らかに声が上擦ってる。

多分これは真っ先に気づいて、しかも上司に言ったけど取り合って貰えなかったから、仕方なく気づいていないフリをしてるってそういうアレだ。



だってコンドルの顔なのに、目泳いでるもん。明らかに目を反らしてるもん。

怪人になってるのに動揺してるの全然分かるんだもん。



「………あの、心中お察しします」


「ダマレェェェェェ!!!」


ついに両手で頭を抱えだしたよ、この怪人。

よほどメンタルやられてるんだ。きっとそうだ。



「い、いけ!マボロシ!!」


「かしこまり~~~!!」


そういってあのIKKO擬きが取り出したのは、着物の袖から多分この世界の物をモチーフにしたのだろうけど私には何がモチーフか分からない長方形のアイテムを取り出してはボタンを押す。


《MEGALO…… 》


そしてそのアイテムを、腰に巻かれたバックルに装填する。



《ZETSUME-RISE……!》


「アッーーーーーー!!!」



まるで布を燃やしたかのように、IKKO擬きの皮膚や服が焼け爛れて“素体”が現れる。


人間を模した機械。それが奴の本体なのだろう。


その頭部のアーマーが展開し、醜い素顔が現れた後、眩い光が包まれる。



光が収まるとそこから現れたのは………



サメを模した巨体。
そして四肢のヒレのようなカッター。
そして巨大な頭部に巨大なキバ。




「どうだ!素晴らしいだろう!

絶滅種『メガロドン』の力を持つマギア!

その名も……」


「まぼろし~~~!!」


「……じゃなくて、“メガロマギア”!

それがコイツの真の姿だ!!」



絶妙にキマッてない。絶妙に滑ってる。



それでも分かる。

そのおぞましい姿は飾りなどではない。

“コイツの強さはホンモノだ”って。



これはもう、ふざけてる場合じゃない。



私のカンが、静かにそう告げるのであった。
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