4話:今!(この世との)別れの時~♪(あの世へ)飛び立とう~♪……って、黙れや!!
──VALZ SIDE──
「……ごめん」
BATTLERの店内。
俺と理緒はノンたんに代わり、
部屋を飛び出したセッテを連れ戻した。
外は雨。
1月後半の雨は十代半ば(くらいだよね?)の女の子には到底耐えられるものじゃない。
理緒にセッテの着替えを用意させ着替えさせ、俺……椿勝利はこうして暖かい飲み物を用意している……という訳だ。
「まぁ……気持ちは解るけどな」
事情はだいたいセッテから聞いている。
要約すればセッテはノンたんが好きだけど当のノンたんは気がつかないところで勝手に千花というカノジョを作ってギシギシアンアン。
それをベッドの下で聞いてしまったと。
そして、トドメをさされたのはさっきのノンたんの言動か…………。
うーん、なんなんだろうな。
なんていうか『自分のイメージするノゾミ・ナカムラ像が壊れたぞ!ふざけんな!』的な話なんだろうけど………。
「こんな事を言うのもアレだけど
……ぶっちゃけ、セッテさ。
ノンたんに対して幻想抱きすぎじゃね?
ノンたんなんて欠点だらけだろうが。
あんな色気皆無のちんちくりん……ただの山田◯子じゃねぇか。
どう頑張っても◯蜜にゃなれやしねーよ」
「………勝利くん言い過ぎ」
「いたっ!」
どうにかセッテを笑わせようとするもセッテはより暗い顔をするとうつむいた。
隣にいる理緒に肘でどつかれてしまう。
「……うん、分かってるんだけどさ」
「………なんつーか、ノンたんに無理に寄り添う必要もなくね?
愛想が尽きたのならもうそれでよくね?
セッテが自分の心に嘘をつく必要なんてないと思うけどな」
「ち、違うっ!違うのっ!
そうじゃなくて………
ノゾミは私の全てで……私に心をくれた………」
「……でも、それであの心をくれた相手だっていう山田◯子擬きのせいでその心を圧し殺してる。
その心のせいで苦しめられている」
「それは……………」
図星だったのか、セッテはこちらから視線を背けると黙り込んでしまう。
その沈黙こそが答えだ。
「本当にノンたんのことを思うのなら、ノンたんが心をくれた人だって思うのなら、ノンたんと一緒にいて辛いっていう自分の心に従うべきじゃねぇの?
ノンたんに言いたいことハッキリ言うべきだと思う。
それとも……このままノンたんの操り人形でいるつもりか?」
「…………」
セッテは沈黙し続ける。
セッテを追い詰める問答なのかもしれない。
でも、そうでもしないとセッテの心を救ってはやれない。
“誰かを救うということは誰かを救わないこと”などと誰かが言っていた気がするがまさにその通り。
いくらヒーローの力を手に入れても、それこそ神様のごとき力を手に入れても。
結局それを使うやつはただの人間。
またはそれに近しい存在。
力を手に入れただけではヒーローにも神様にもなれはしない。
時には救う相手を選ぶ必要がある。
だからこそ、俺は………ヒーローでも神様でもなく“人として”少しでも救える可能性がある方を選ぶ。
例え、救えないと判断した方を切り捨てることになろうとも。
それで誰かに恨まれることになろうとも………それが最善だと信じているから。
「…………落ち着くまでしばらくはノンたんから離れた方がいい。
その方がお互いの為だと思う」
二兎追うものだけが二兎を得られるとは言うが、俺はそうは思えない。
二兎追いかけて二兎ともとれないのが現実の大多数の人間だ。
二兎を追いかけて二兎ともダメにするなら、どちらかを選ぶしかない。
そう。この時俺は、セッテを救うことを………
───ノンたんを見捨てることを選んだのだ。
「……ごめん」
BATTLERの店内。
俺と理緒はノンたんに代わり、
部屋を飛び出したセッテを連れ戻した。
外は雨。
1月後半の雨は十代半ば(くらいだよね?)の女の子には到底耐えられるものじゃない。
理緒にセッテの着替えを用意させ着替えさせ、俺……椿勝利はこうして暖かい飲み物を用意している……という訳だ。
「まぁ……気持ちは解るけどな」
事情はだいたいセッテから聞いている。
要約すればセッテはノンたんが好きだけど当のノンたんは気がつかないところで勝手に千花というカノジョを作ってギシギシアンアン。
それをベッドの下で聞いてしまったと。
そして、トドメをさされたのはさっきのノンたんの言動か…………。
うーん、なんなんだろうな。
なんていうか『自分のイメージするノゾミ・ナカムラ像が壊れたぞ!ふざけんな!』的な話なんだろうけど………。
「こんな事を言うのもアレだけど
……ぶっちゃけ、セッテさ。
ノンたんに対して幻想抱きすぎじゃね?
ノンたんなんて欠点だらけだろうが。
あんな色気皆無のちんちくりん……ただの山田◯子じゃねぇか。
どう頑張っても◯蜜にゃなれやしねーよ」
「………勝利くん言い過ぎ」
「いたっ!」
どうにかセッテを笑わせようとするもセッテはより暗い顔をするとうつむいた。
隣にいる理緒に肘でどつかれてしまう。
「……うん、分かってるんだけどさ」
「………なんつーか、ノンたんに無理に寄り添う必要もなくね?
愛想が尽きたのならもうそれでよくね?
セッテが自分の心に嘘をつく必要なんてないと思うけどな」
「ち、違うっ!違うのっ!
そうじゃなくて………
ノゾミは私の全てで……私に心をくれた………」
「……でも、それであの心をくれた相手だっていう山田◯子擬きのせいでその心を圧し殺してる。
その心のせいで苦しめられている」
「それは……………」
図星だったのか、セッテはこちらから視線を背けると黙り込んでしまう。
その沈黙こそが答えだ。
「本当にノンたんのことを思うのなら、ノンたんが心をくれた人だって思うのなら、ノンたんと一緒にいて辛いっていう自分の心に従うべきじゃねぇの?
ノンたんに言いたいことハッキリ言うべきだと思う。
それとも……このままノンたんの操り人形でいるつもりか?」
「…………」
セッテは沈黙し続ける。
セッテを追い詰める問答なのかもしれない。
でも、そうでもしないとセッテの心を救ってはやれない。
“誰かを救うということは誰かを救わないこと”などと誰かが言っていた気がするがまさにその通り。
いくらヒーローの力を手に入れても、それこそ神様のごとき力を手に入れても。
結局それを使うやつはただの人間。
またはそれに近しい存在。
力を手に入れただけではヒーローにも神様にもなれはしない。
時には救う相手を選ぶ必要がある。
だからこそ、俺は………ヒーローでも神様でもなく“人として”少しでも救える可能性がある方を選ぶ。
例え、救えないと判断した方を切り捨てることになろうとも。
それで誰かに恨まれることになろうとも………それが最善だと信じているから。
「…………落ち着くまでしばらくはノンたんから離れた方がいい。
その方がお互いの為だと思う」
二兎追うものだけが二兎を得られるとは言うが、俺はそうは思えない。
二兎追いかけて二兎ともとれないのが現実の大多数の人間だ。
二兎を追いかけて二兎ともダメにするなら、どちらかを選ぶしかない。
そう。この時俺は、セッテを救うことを………
───ノンたんを見捨てることを選んだのだ。