4話:今!(この世との)別れの時~♪(あの世へ)飛び立とう~♪……って、黙れや!!

「戦う意志がないって…………じゃあ一体何しに来たんだよ………?」


相手の真意が分からず、俺は相手がどう出てもいいように右手を体の後ろに回し、仕込んでおいたライダーカプセルに手を掛ける。

こないだもやってみせたように、単体でライダーカプセルを起動することでそのライダーの能力を限定的に宿すことができる。


こんなのジニア相手には牽制にもなりはしないが、ないよりマシだ。




「お前と同じだよ。ここに用があってきたんだ………本堂の裏だったな」


「…………は?」


観てみれば奴の手にも花束が握られている。

まさか、本当に俺と同じように参りにきたなんて言うのか?


この男の諸行の数々からしてあり得ないだろ。

きっと、なんかの作戦だ。罠だ。


こいつが少しでも妙な動きをすれば…………




「へ?…………お、おい!」


言ってる側からジニアの姿がなくなっていた。

そして辺りを見回してみれば、奴は手水屋で既に手を洗っていた。




「うっせぇな……お前、境内の中くらい静かにしてろ」


両手と口を清めた後、ジニアは苛立った様子で俺にそう言い残すと花束を持ってそそくさと本堂裏の無縁仏たちの方へと歩いていく。




「ま、待てよ!」


───あり得ない。


いくつも世界を滅ぼしておいて。

仲間たちを苦しめておいて。

戦争を仕掛けておいて………。



そんなやつが今更こんなところで死者のために祈りを捧げるなんてあり得ない。


しかもジニアは無駄なことをすさまじく嫌う病的に几帳面な男。


世界を滅ぼす魔王が滅ぼした奴らに祈るなんて限りなく無駄なことをするわけがない。






でも…………もしかしたらジニアは…………





先生は……………………。







その真意が知りたくて俺はジニアを追いかけて再び無縁仏たちのもとへと向かうのだった。
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