4話:今!(この世との)別れの時~♪(あの世へ)飛び立とう~♪……って、黙れや!!

「…………あ?」


振り替えってみると、そこにいたのはそこの寿司屋の板前だろうか。

ジンベイのような白い調理服に身を包んだ背の高い男と、その隣には同じく白い調理服の俺と歳が大して変わらなさそうな男と女。

なんかこの三人組既視感バリバリだけど………もしかして、目の前の寿司屋の板前か?



「あんたたち誰だ?」


「あぁ………俺はそこの寿司屋で板長やってる周防 流津太郎(すおう るつたろう)ってモンだ」


「“スウォルツ太郎”?」


「周防 流津太郎だ」


───ちょっと聞き間違えしてしまった。

て言うかホンッットどっかで見たことある顔だからな………。

きっとそのせいだろうな、きっとそうだ。



「それで隣のひょろひょろした男が新入りの握鱒 寿司夫(にぎります すしお)、そしてもうひとりの女が梶木 早苗(かじき さなえ)だ」


「あ、よろしくお願いしまーす」


「よろしくね」


「あ、どーも」


両隣の短髪で俺より背が低くスウォルツ太郎の言う通りひょろひょろしたなんともたよりなさげな方が寿司夫、そして反対のサイドテールの女の子が早苗か。

ウール太郎とオーラ子とかじゃなくてよかった。


二人ともスウォルツ太郎に挨拶を促されると、軽く挨拶をした。

俺も挨拶をするのだけど、スウォルツ太郎を中心に高校生か少し上くらいの男女だとどーもなぁ………別のなにかを思い出してしまう。



「で、ボウズ………。お前はこの街の者じゃないな?

親戚の家に遊びにきて、迷子にでもなったか?」


「ちげぇよ」


姫矢市にいたせいで、一般人がライダーの存在を知っているのが当たり前になってきたから感覚が麻痺してたのか、一般人が仮面ライダーを知っているのはごく稀………俺の世界や姫矢ならともかく、だ………。


俺はとりあえず仮面ライダーであることを伏せる。



「気がついたらここにいたんだ………」


「飲んだくれか?止めとけ、未成年の飲酒は捕まるぞ?」


「だからちげぇって!」


「………まぁ、事情はともかく。うちの店に来い。

腹減ってんだろ?うまい寿司食わせてやる」



そうやってこの親方……周防 流津太郎はサムズアップをして笑って見せた。





……………………が




「…………やっぱ、俺死んだのかな」


「は?」



なーんか顔が胡散臭いんだよなぁ。
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