3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

「はいっ!セッテ・クロハラに問題っ!」


「もう止めて!セッテを苦しめないで!」


ノゾミは涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら僕に掴みかかってくるが、僕は彼女を突き飛ばし、出題。



「………ノゾミ・ナカムラの心はお前から既に離れている。

○か、×か」


「……………っ」


このクイズを出した途端、レヴォリューションイージスの視線が僕の右胸………『○』の方に向いたのがわかった。


あぁ………やっぱりわかってるんだよね。


そして、『○』って答えればこの電撃コンボから逃げられるけど………答えられないよね。

認められるわけ、ないよね。


「×だっ!私の心はセッテから離れてないっ!」


「───解答権ないのに答えるなよ。ペナルティな」



───バチィィッ!!


「「あぁぁぁぁぁぁっ!!」」


「ノゾミお姉ちゃん!セッテさんっ!!」


今度はレヴォリューションイージスだけでなく、生身のノゾミにも電撃が炸裂する。


これを見たプロメテウス01の悲鳴がこだまする。



これはPSQジキルコンボの固有能力。

クイズの解答者を任意で絞ることで、効果範囲を狭める代わりに解答者以外の者が答えた瞬間、ペナルティとして電撃を与えることができる。

当然、エナジーアイテムの押しつけも出来ちゃう。


《ネガティブ化!》《ネガティブ化!》


レヴォリューションイージスとノゾミにエナジーアイテムが押しつけられる。

それは『ネガティブ化』。


文字通りネガティブシンキングにさせ、精神的に不安定にするエナジーアイテムだ。



「正解は○。あとセッテは時間内に答えなかったからもう一発ね」


───バチィィッ!!


「あぁぁぁぁぁぁっ!!」


《暗黒!》


そして無回答分の電撃が炸裂し、レヴォリューションイージスに再びエナジーアイテムが押しつけられる。


今度は『暗黒』。レヴォリューションイージスの周囲に暗黒が立ち込める。



「いっ………いやぁぁぁぁぁ!!」


「ノゾミぃっ!
待って!置いてかないで!!

嫌だ……嫌ぁぁぁぁっ!!」


レヴォリューションイージスから闇が発生するとネガティブ化の影響と本人のトラウマのせいでノゾミはレヴォリューションイージスを置き去りにして逃げ出してしまう。


ノゾミはともかく、セッテは『混乱』『バグ』『猛毒』『悲哀』『ネガティブ化』『暗黒』………たくさんのエナジーアイテムを押しつけられた。


本来ならゲームライダーでもエナジーアイテムは一回につきひとつしか取得出来ない。


だがパラドクスはその制限を超えて複数のエナジーアイテムを組み合わせることが可能。


そして……PSQジキルコンボは自分に有利なエナジーアイテムを複数重ねがけするだけでなく、相手に不利に働くエナジーアイテムを限界を超えて複数重ねがけすることでそれらのエナジーアイテムを累積することを可能にした。

これでもう、セッテも終わりだ。




「ぷくく………ノゾミの事が好きだったのに残念だったね。

最終問題だ………。


セッテ・クロハラに問題!

お前の恋は既に終わっている………

…………○か×か」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


「無回答だね………正解は○だ」



────バチィィッ!!



「あぁぁぁぁぁぁっ!!」


《混沌!》


最後の電撃と、最後のエナジーアイテムの押しつけが完了する。

レヴォリューションイージスに押しつけられたエナジーアイテムは『混沌』。


混乱を更に強化したエナジーアイテムだ。




…………もう、セッテには何も出来やしない。



「───終幕の時間だ」


《SHINOBI……Awaking》

《セイバイ!忍POW!!》


ここで僕はようやく最後の一体であるシノビの能力を発動させる。


火炎を何も出来ないレヴォリューションイージスに吹きつけ、紫の竜巻でレヴォリューションイージスを巻き上げる。



《停止!》《マッスル化!》《高速化!》《ジャンプ強化!》


それだけでは終わらない。


僕はパラドクスの能力でエナジーアイテムを操作し、自分に有利に働くエナジーアイテムを取得する。


『マッスル化』で全身の筋力を強化し、『高速化』でスピードアップ、『ジャンプ強化』で脚力を強化し、『停止』で空中に巻き上げられたレヴォリューションイージスの『時間』をゲームのポーズ機能さながらに止めてしまう。


《BURST………

PERFECT VICTORY FLASH!!》


DFカプセルギアを左に90度回し再び右に90度回す。


────これがこいつの最大最強の必殺技だ。



「はっ!」


強化されたジャンプ力でレヴォリューションイージスの上を取ると、セイバイ忍法による効果で無数に分身。

それぞれの分身の脚にも本体である僕の脚にも、紫の炎が宿っている。



「はーーーーーーーーっ!!」


時間を止められたレヴォリューションイージスに、何十体にもなった僕たちによる超高速下からのライダーキックが炸裂する。


それはまさに全方位からのオールレンジ攻撃。



当然、強化形態とはいえレヴォリューションイージスにこの攻撃は耐えられる訳もなく…………



「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


「セッテェェェェェェェェェェェェ!!」


──レヴォリューションイージスは空を彩る花火の如く爆炎に包まれた。



《AIl Clear……!》


「よっ、と」


変身が解除され、地面に叩きつけられるセッテの体。

必殺技が決まり役目を終えた分身が消滅すると、僕も安全に着地した。







「よくも……………よくもォォォォォ!!」



《EXCEED HOPE!》



《インフィニット!エクシーーードッ!!》



響き渡る電子音。

エナジーアイテムの効果が切れたのか、逃げ出したことに罪悪感を覚えて戻ってきたのか、ノゾミはどうやら死力を振り絞って変身したようだ。


そして魔法使いのライダーだから、能力の要である指輪が邪魔で『殴る』という選択肢がとれないので、武器を召喚して斬りかかろうと迫っているんだろうね。






でも…………







「────逃げた奴が今更なんだよ」



「ぐっ!?」


───裏拳を奴に叩きつける。


視線を後ろに向けてみれば、丁度僕の裏拳が刀を振り下ろす前に、ホープ・インフィニットエクシードの頭部を綺麗に捉えていた。




「…………どうして………だよぉぉぉ…………!」


そして、ホープの体がゆっくりと崩れ落ちるとノゾミの変身はすぐさま解除されたのでした。まる。
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