3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

「セッテェェッ!」


電撃とエナジーアイテムの影響でふらつくレヴォリューションイージス。


ノゾミの悲痛な叫びが響き渡る。


あー……そういえばセッテは父さんにも殺されかけてたっけねぇ。


でも、僕がボロボロにするのは体だけじゃないよ。



「……セッテ・クロハラに問題っ。
ノゾミ・ナカムラは溶原性細胞に犯された。○か×か!」


「え………?」


“溶原性細胞”。

元々は野座間製薬という会社が作り上げた人喰い細胞……“アマゾン細胞”。

それが人の遺伝子と融合して変異を起こしたものだ。


それは人に伝染し、人を人喰いの怪物……“アマゾン”へと変える。


そして希望の担い手(笑)のノゾミ・ナカムラは見事に溶原性細胞に感染した。

希望の担い手を自称していた奴が希望もへったくれもない人喰いアマゾンになるとは………本当に笑うしかない。


仮面の下でセッテが答えに困っているのが分かる。



「……はい、時間切れ。正解は○ね」


──バチィィッ!



「あぁぁぁぁぁぁっ!!」


再び○のマークが輝き、レヴォリューションイージスに電撃が炸裂する。



《バグ!》


それと同時に奴にエナジーアイテムが押しつけられる。

エナジーアイテムは『バグ』。

取得した相手のライダーシステムをバグらせるものだ。


つまり………



「くっ………!クロックアップ!

………なんで!?なんで発動しないの!?」


こーんな感じでシステム自体を狂わせてしまうってワケ♪

こうなったらもう最後。



───ネギをしょってきたカモはクイズの答えを考えるだけの余裕を失ってしまう。



「アッハッハッハッハ………。

ノゾミの体、ちゃんと見なよ………もう手遅れってレベルになってるよ?」


僕はノゾミのそばに行き、ノゾミの腕を無理やり掴み、セッテに見せる。

ノゾミの腕には血管のような模様が浮かび上がっている。



───あー………こりゃあと一押しで人を喰うな………。ふふっ、楽しみ♪




「ノゾミから離れろっ!」


クロックアップの発動を諦めると、レヴォリューションイージスは地面を駆け出しこちらに迫る。

トップスピードから繰り出される拳。

僕はノゾミの体を盾にするように、奴の前に差し出す。



「っ!!」


狙い通り、レヴォリューションイージスの拳はノゾミに当たる直前で止まる。


やっぱり“最愛の親友”には攻撃出来ないよね。
たとえその最愛の親友が他の子にうつつを抜かしていても。



「はい、セッテ・クロハラに問題!

ノゾミ・ナカムラが溶原性細胞に感染したのは桜ノ宮 千花とセックスしたからである。○か×か」


「っ…………!」


ノゾミを盾代わりにしながらの出題。


当然、セッテには答えられない質問。



だってそうだろ?


セッテの『ノゾミへの想い』はもう『ただの親友』に対する想いではないのだから。




「はい、時間切れ!正解は○ね」


──バチィィッ!



「あぁぁぁぁぁぁっ!!」


「セッテェェッ!!」


またもや電撃によるペナルティが発動し、セッテは悶える。

泣き叫ぶノゾミ。


もう滑稽で仕方ない………だから大好きなんだよ、このPSQジキルコンボは。



《猛毒!》


再びレヴォリューションイージスに押しつけられるエナジーアイテム。


今度は『猛毒』。
文字通りエナジーアイテムの取得者を猛毒に犯す効果を持つ。



「ぐっ………あぁぁぁっ!!あぁぁぁっ………!」


レヴォリューションイージスはその場に転がり、悶える。

このエナジーアイテムによる猛毒は速効性なのだから。



「セッテェェッ!………もう止めて!」


「やーだ☆

………セッテ・クロハラに問題っ!」


僕はノゾミを突き飛ばすと、再びまともに答えられなくなったセッテに出題する。




「……お前のノゾミへの想いは成就する。○か×か」


「の………ノゾミ…………!」



「───正解は×だ」


───バチィィッ!!


「あぁぁぁっ!!!」


「セッテェェェェ!!」


「アッハッハッハッハッハッハ!」


回答者が答えられなくてもこのクイズタイムは続くし、答えられなければペナルティも与えられる。


──やっぱり、PSQジキルコンボの能力を最初に考えた奴は相当イカれてる。



《悲哀!》


そして、またエナジーアイテムの押しつけが行われるが……これまた今のセッテにピッタリなエナジーアイテムが押しつけられた。


本当に愉快。そして痛快。



これが敗者に相応しいエンディングって奴♪


本当に楽しいよね…………ふふっ。
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