3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!
──Aegis SIDE──
さて、ここで少し時間を遡るとしよう。
私……セッテ・クロハラは包丁片手にノゾミの部屋を飛び出したところ、仲間の仮面ライダーである篠原輝と遭遇してしまった。
「……ていうかお前、なに持ってんだよ……?
お前のことだから、ノゾミのためにサプライズで料理とか作ってるんだろうけど、流石に玄関にまで包丁持ってくるってのは………」
………そうか。
この男もそう思ってるのか。
私はノゾミの金魚のフンで、ノゾミに尽くすだけの女。
ここでこの男も刺してやろうかと考えたけど……私が欲しいのはこいつの心臓じゃない。
「……あぁ、ゴメン。サプライズでキムチでも作ろっかなーって。
ちょっと物音がしたからノゾミたちが帰ってきたんじゃないかって思って窓開けたってだけ。
本人たちが帰ってきたらサプライズになんないからさ」
結果、私は包丁を引っ込めることにした。
笑う気力も正直ないが、私は笑顔を作り輝くんに即興で考えた事情を話すことにした。
殆どが嘘だ。
だってノゾミたちは一度この部屋に帰ってきているんだもの。
サプライズもクソもない。
「………お、おう。そっか……。
それにしてもセッテ、お前顔色悪いけど大丈夫か?
休めてねぇのか?休まねぇと美容にも悪いぞ??」
少し引き気味に、ひきつった笑顔を浮かべると輝くんは私の顔色をみる。
よほど顔色が悪いのか、心配そうにしている。
──余計なお世話だボケ。
お前もキムチの具にしてやろうか。
包丁を握る手に力が籠るのがわかる。
「………う、うん。大丈夫。
最近ずっとライダーとして戦ってて疲れが取れてないだけだから。
だから心配しないで……」
そうだ。私も疲れているんだ。
いろんなことがありすぎて疲れてしまったんだ。
だから何をしても仕方ないよね。
──ここでこの男を刺したって。
引っ込めた包丁を再び出そうとしたその瞬間だった。
「輝!ニュース見ろニュース!」
お店でフェイトさんと話していた勝利くんの声が聞こえてきた。
なにやらただならぬ様子。
「おいおいどうしたよ!?」
「動物園でライダーが暴れてるって!」
「はぁっ!?なんだそれ!?」
「………ノゾミ……!!」
確かあの子は千花と一緒に動物園に行くって言ってた。
まさか暴れているのって………!
私は包丁を棚にしまうと、輝くんを突き飛ばす形になりながらもノゾミの部屋を飛び出した。
「うぉっ!?せ、セッテ!……あぁもう!!」
「……ちょっと待って!俺のエクスライザーねぇんだけど!またノンたん持っていったのかなー?」
「……貴方は留守番してなさい!」
「えー!」
部屋を飛び出した私を追いかけるように輝くんとフェイトさんがやってくる。
こうして事件が起きているとされる動物園へと向かい、その動物園での痕跡を元に私たちは森へとたどり着いたのである。
さて、ここで少し時間を遡るとしよう。
私……セッテ・クロハラは包丁片手にノゾミの部屋を飛び出したところ、仲間の仮面ライダーである篠原輝と遭遇してしまった。
「……ていうかお前、なに持ってんだよ……?
お前のことだから、ノゾミのためにサプライズで料理とか作ってるんだろうけど、流石に玄関にまで包丁持ってくるってのは………」
………そうか。
この男もそう思ってるのか。
私はノゾミの金魚のフンで、ノゾミに尽くすだけの女。
ここでこの男も刺してやろうかと考えたけど……私が欲しいのはこいつの心臓じゃない。
「……あぁ、ゴメン。サプライズでキムチでも作ろっかなーって。
ちょっと物音がしたからノゾミたちが帰ってきたんじゃないかって思って窓開けたってだけ。
本人たちが帰ってきたらサプライズになんないからさ」
結果、私は包丁を引っ込めることにした。
笑う気力も正直ないが、私は笑顔を作り輝くんに即興で考えた事情を話すことにした。
殆どが嘘だ。
だってノゾミたちは一度この部屋に帰ってきているんだもの。
サプライズもクソもない。
「………お、おう。そっか……。
それにしてもセッテ、お前顔色悪いけど大丈夫か?
休めてねぇのか?休まねぇと美容にも悪いぞ??」
少し引き気味に、ひきつった笑顔を浮かべると輝くんは私の顔色をみる。
よほど顔色が悪いのか、心配そうにしている。
──余計なお世話だボケ。
お前もキムチの具にしてやろうか。
包丁を握る手に力が籠るのがわかる。
「………う、うん。大丈夫。
最近ずっとライダーとして戦ってて疲れが取れてないだけだから。
だから心配しないで……」
そうだ。私も疲れているんだ。
いろんなことがありすぎて疲れてしまったんだ。
だから何をしても仕方ないよね。
──ここでこの男を刺したって。
引っ込めた包丁を再び出そうとしたその瞬間だった。
「輝!ニュース見ろニュース!」
お店でフェイトさんと話していた勝利くんの声が聞こえてきた。
なにやらただならぬ様子。
「おいおいどうしたよ!?」
「動物園でライダーが暴れてるって!」
「はぁっ!?なんだそれ!?」
「………ノゾミ……!!」
確かあの子は千花と一緒に動物園に行くって言ってた。
まさか暴れているのって………!
私は包丁を棚にしまうと、輝くんを突き飛ばす形になりながらもノゾミの部屋を飛び出した。
「うぉっ!?せ、セッテ!……あぁもう!!」
「……ちょっと待って!俺のエクスライザーねぇんだけど!またノンたん持っていったのかなー?」
「……貴方は留守番してなさい!」
「えー!」
部屋を飛び出した私を追いかけるように輝くんとフェイトさんがやってくる。
こうして事件が起きているとされる動物園へと向かい、その動物園での痕跡を元に私たちは森へとたどり着いたのである。