3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

「ノッゾォォォォォォォォォン!!」


目の前の奇行種が巨大な腕を振るい、僕をはたき落とそうとする。


プリティ☆のぞみんは『進撃の超大型のぞ』って名前つけてたけど………
うーん、名前が長いから奇行種でいいや。

元のノゾミからして奇行種だし。



「おっと」


あの巨体からは信じられないほどのスピード。

こんなものにはたき落とされたら、僕もどこぞの鬼みたいに美尻を晒しながら死ぬことになる………だろうね。


僕は瞬間移動により奴の攻撃を回避。


更に距離を詰めると、奴の振るった腕にシャドーセイバーを突き立て、奴の腕を足場として駆け出す。



「ネスや来栖にはこれを避けるのは無理だろうけど………僕には通用しないっ!」


一気に距離を詰め、奴の眼前まで来ると奴の目にシャドーセイバーを突き立てる。

目を潰された奇行種は目を押さえながら暴れる。



「ノゾォォォォォォォォォォォォン!!」


「超大型のぞっ!」


「そらよっ、と」


奴に振り落とされるより前に、奴の頭を踏み台にして高く飛び上がると、二本のシャドーセイバーを構える。


狙うは奴のうなじ。そこが急所だ。


僕の脳波に反応するかのように二本のシャドーセイバーの刀身に翠の雷が宿る。




「これで終わりっ!!」


自由落下を利用した急降下。

そこから放たれる二対の刃による重い一撃。



奇行種のうなじを削ぎ落とすその姿は……

自分で言うのもアレだけど、まさに『獲物を屠る狩人イェーガー』って感じだろ? 



「ノゾォォォォォォォォォォォォン!!」


「ノォォォォォォォォォォォォ!

進撃の超大型のぞォォォォォォォォォ!!」


シャドーセイバーによる一撃でうなじの肉を削ぎ落とされたノゾミ型奇行種は大量の蒸気と熱気を撒き散らしながら崩れ落ちていく。


無論、それを操っていたノゾミ……いやプリティ☆のぞみんを下敷きにして、だ。


直後、奇行種とそれを操る希望の担い手(笑)の断末魔が聞こえる。



………コイツ、本当にバカなのかな?

まぁ、バカなんだろうけど。




「…………ふぅ」


呆気なく決着が着くと僕は着地し、奇行種の下敷きとなり倒れ伏すプリティ☆のぞみんを見据える。


かろうじて顔を出しているけど、それにしても本当に哀れなもんだ。



エクスライザーを使いこなせていないどころか………



────やっぱり“エクスライザーに呑まれてる”。





コイツ相手に話してたら口が腐りそうだけど、一応言っておくかな。




「………これで少しは分かった?


お前、仮面ライダーに向いてないんだよ」
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