3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

──JILL SIDE──


「………どこぞの兵長かな、僕は」


さて、諸君。

ノゾミ・ナカムラに語り部を変わってもらい、ここからはこの僕、ジル・ロックディールが語り部をつとめさせてもらうよ。

よろしくね。



ノゾミはエクスライザーで『プリティ☆のぞみん』へとデュアルフュージョンし、早速使い魔のような巨人を呼び出した。

普通ならここで僕に勝ち目はなくなった……と思うところだろう。


エクスライザーの根幹には『ハルシオンリアクター』と呼ばれる動力源が使われている。

このリアクターは『リヒトシュトローム』なる高密度のエネルギー源を生み出すだけでなく、カプセルに記憶されたライダーや怪人の記憶を融合させ、それを使用した者の体に刻み込み、スーツや体そのものを改造することで使用者を『ライダーや怪人を超えた存在』へと変える。

そしてエクスライザーと完全に適合した者が変身すれば、どんなに力量があろうともエクスライザー使用者と非使用者の間で埋まりようのない能力差が生まれてしまう。


………つまり、本来なら既存のライダーではデュアルフュージョンしたライダーやエクスキメラには『決して勝てはしない』のだ。



───ただ、例外もある。


それはエクスライザー使用者の方に問題がある場合。

エクスライザーは基本的に誰でも使用出来るのだが、エクスライザーが完全に適合するには時間を要するし、当然完全にその能力を引き出すには使用者の力量も要求される。


前に呼道勇騎のエグゼイドレベル1が来栖のエクスキメラからバグスターを切り離し行動不能に追い込んだことがあった。


あれはRe:BUILDに入団して日が浅かったこともあり、来栖自身がエクスライザーと適合しきっていなかったこと。

そして、来栖自体が未熟だったこと。


………様々な要因が重なったことで奇跡的に起こったことだ。


つまり………エクスキメラに変身していたのが来栖でなかったら『確実に呼道勇騎も死んでいた』。


無論、椿勝利も同じだ。

エクスライザーを使って日の浅かった椿勝利もエクスライザーに完全に適合出来なかったこと、そしてデュアルフュージョンすら知らなかったこともあり、赤津将が変身する“アーキタイプ”……仮面ライダークロスに敗北を喫している。




「さぁて、いきますか………!」


ん?……いきなりこんなこと話して、何が言いたいかって?


要するに、エクスライザーを使う奴がクソザコで、非使用者が実力者なら、本来覆るはずのない性能差も覆ってしまうって訳さ。





そう………



───ノゾミ・ナカムラとこのボクのようにね。





「シャドーセイバー!!」


まず、狙うはあの巨人。

………といっても、流石にリボルケイン一本であの巨人を倒すのは無粋極まりない。


僕はシャドームーンの武装の中から二本の剣『シャドーセイバー』を召喚すると、巨人目掛けて勢いよく飛び上がる。




───さぁ、そのうなじ………削ぎ落としてやるよ!
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