3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

「………お前さぁ、聞いてた?僕の話」


笑っていたのもつかの間、私がエクスライザーを取り出したのを見ては、今度はあきれたかのように冷たい視線を向けてくる。


戦士の魂がどうだとか………そんなもん知るか。



《ウィザード!》《ポッピー!》


『待ってノゾミ!アイツの口車に乗せられちゃダメ!』


カプセルを起動した途端、ポッピーのカプセルが輝き、声が聞こえる。

まるで私では奴にかなわないから戦うなと主張するかのように。



「………またアンタなの……?


お願いだから邪魔しないでよ

………“ポッピーピポパホ”」


私はこの声の主を知っている。

前に勝利くんを看病していたときに、ひとりでにポッピーのカプセルが起動したことがある。

その時にカプセルからホログラムとして現れたド派手な格好の女が………仮面ライダーポッピーに変身する女が、このポッピーピポパホなのだ。


ただ自律して行動できるとはいえ、やはりポッピーピポパホ“そのものとして”存在出来なかったのか、私と勝利くんの前に現れたときは程なくして霧散するかのように消えてしまった。

それからはずっと声だけで、私に語りかけてきた。


───今のように。



「何も出来ないんなら黙っててよ……!

私は絶対に奴を倒さなきゃいけないんだから………!」


《デュアルフュージョン!

ホープ!プリティ☆のぞみん!》


「変身っ!!」


《ドリーミングガール♪》

《プリーズ!》

《マジカル☆レボリューション♪》

《乙女はいーつも♪ピプペポパニック♪》

《サイコー!!》


この場に似つかわしくない歌。

ハートや星などの派手なエフェクト。


エクスライザーから放たれたライザープルーフが私に刻まれ、私の服が弾けとび再構成されると私の姿はポッピーピポパホのそれに酷似した派手なコスチュームを纏った魔法少女と呼んでも差し障りのないものとなった。



「魔法少女!プリティ☆のぞみん参上ぉっ!

みーんなに希望を届けるだっちゃ!」


これが私の最大の力。

変身している私にすら扱えないほどのパワーを秘めた姿。



そして…………私が手に入れた『ライダーを超えた存在』の力だ。
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