1話:魔法少女始めました!……ってなんのこと!?

「………ったく」


…………呆れて物も言えない。


私は思わず頭をかかえてしまう。
ここにはマトモな人はいないのか。



「ただいまー………って!なんじゃこりゃ!?」


カランカランという音と共にドアが開く。

そして、店内に入ってきたのは勇騎さん。




…………よかったぁ、マトモな人いるじゃん。




「あっ、ごめんなさい!ついやり過ぎちゃって………」


「仕方ねぇなぁ…………俺、直しとくから気にすんな」


そして優しい!バ勝利を沈めるためとはいえ壁を壊してしまったのに、許してくれた!



ヤバい!惚れそう!!



そんなことを思っていると、勇騎さんはバ勝利の隣でしゃがみこみ………




「………鉄のかつとーしー♪無敵かつとーしー♪」


「へっ?」



………なんか、歌い始めた。しかも懐かしいやつ。



「鉄のかつとーしー♪無敵かつとーしー♪」


「……て、てつのかつとーしー………♪無敵かつとーしー………♪」


拳を降りながらまるで勝利にエールでも送るかのように歌い続ける勇騎さん。



するとあのバカも歌い始めた。





そして…………



「「鉄のかつとーしー♪無敵ィィィかつとォォォォォすぃぃぃぃぃぃ!♪」」


───あのバカ、完全に復活しやがったよ。


起き上がって、勇騎さんと一緒に歌ってる。



「この俺こそがヒムェェェェェィィィヤァァの英雄!ツヴァークィ・カツトォォォスィさ!
HA☆HA☆HA !!」





《チョーイイネ!サンダー!サイコー!!》




「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」




ダメだこりゃ。

私は緑色の指輪をベルトにスキャンさせ、雷の魔法を発動。
勇騎さんもろともバ勝利に電撃を放つ。


電撃の直撃を受け、前のめりに倒れるバカふたり。




「………ったく」


前言撤回。あんな男に惚れるわけない。


そして、ここにはやはりマトモな人はいなかったのだ。




「…………ノゾミ、私は?」


「あっ!」


大丈夫。ノエルちゃんはマトモだよ?
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