3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

───


『花葉動物園』。


あの区画が姫矢市に合併される前からあった動物園。

動物と人間、環境……その3つにやさしい動物園をコンセプトに自然の地形を活かし、動物たち本来の生息環境に近い環境を再現した動物舎を作っている。


この動物園のある花葉区には水族館や遊園地もあるから休日になると花葉区は人で賑わうのだそうだ。



「………見てみて!千花!!

“アタオカ”だよ!アタオカ!

可愛いなぁ~………」


チケットを購入し、園内に入る。

そして目当ての動物がいる区画に行くと、テレビで見た動物……私が会いたかった動物“アタオカ”の元へ。


白くてフワフワで……首が長いなんともかわいらしい動物、アタオカ。


うーん………首もとをこう、もふもふーってやりたくなるよね。




「………“アルパカ”ね、ノゾミお姉ちゃん。

“アタオカ”って……トリニクがどうとか言ってるクイズ番組に出てるどっかのボディビルダーと同じ間違い方だよ」


「え、アタオカじゃないの!?

勝利くんが私の顔写真をあの動物の画像に貼り付けて『ノンたんマジアタオカww』とかやって遊んでて、そういう名前の動物だって教えてもらったんだけど………」


「それ、遊ばれてるだけ。

………アタオカは“頭がおかしい”の略ね」



「クッソォォォォォ!

あの男!私を騙したなァァァァァァァ!!」


「いや、それは流石に騙される方が悪い」


千花の冷静かつ冷たーいツッコミ。

まぁ、確かに私の自業自得かもしれないけど!


私はアタオk………もといアルパカに視線を戻す。


手を伸ばせば届きそうな距離にいるモコモコな動物。

もういいや!あの男のことは忘れよう!


千花と一緒にアルパカに癒されるとしようか。




「ふぇ~~~………」


なんとも気の抜ける鳴き声。

これがアルパカの鳴き声。


程好く脱力感を与えてくれるアルパカの鳴き声に私たちは…………




「「ふぇ~~………」」


私と千花はたっぷり癒されるのでした。まる。
55/82ページ
スキ