3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

合鍵を使い、ノゾミの部屋に入る。

相変わらずノゾミの部屋は散らかっていた。
お菓子の空き箱や脱いだ靴下……それから畳まずに放り投げられたブランケットなどが床に放置されていた。


………ホント、仕方ないなァ。


私はフフッと笑うと、ブランケットを畳み、靴下などの着替えを全て洗濯かごに放り入れた。

それからゴミを分別後にゴミ箱に放り入れ、洗ってない食器を徹底的に洗っていく。

今の私は押し掛け女房のよう。

少なくともノゾミのお嫁さんなら、悪くないかもしれない。

ていうか、そうなりたい。


あぁ、そうだ。
私はノゾミが大好きなのだ。


……それを言ったら勝利くんには『趣味が悪い』と一刀両断されたが。


「ん~~!………綺麗になった………!」

一通り食器を洗い終えると、食器を拭き食器棚へと戻していく。

あれだけ散らかっていた部屋も、私の手にかかれば見違えるほどに綺麗になる。

こういう家事は得意なんだよね。


「少しだけ休もうかな…………」

ノゾミの部屋の掃除とあって少しはりきりすぎたかな……ちょっと疲れちゃった。


私はクッションに腰掛けた時だった。



「いい買い物したね!」

「………いっぱい買ったねノゾミお姉ちゃん」

「まぁね!」


「………やばっ……!」

───この部屋の主……ノゾミが帰ってきたのだ。

マズイ。これは非常にマズイ。

別に悪いことなどしていないが千花がいるとなると急に気まずくなってしまう。


私は咄嗟にベッドの下に隠れることにした。



…………その判断が後々私を地獄に叩き落とすことになろうとも知らずに。
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