3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!
──JINIA SIDE──
──あれはいつだったろうか。
“彼女”がまだ俺のそばにいた頃なのは覚えている。
夕暮れの茜色と、海の紺碧のコントラストの美しさ……そして夕陽に照らされる彼女の横顔の美しさが今でも忘れられない。
「………心って何処にあると思いますか?」
唐突な質問。
そう聞かれたのは結婚指輪を見に行った帰りに、彼女とふたりで夕暮れの海に寄り道したときのことだ。
しかもなんの前触れもなく………いや、前触れはあったか。
テレビでそんな話を得意気にしていた男がいたっけか。
「あぁ?なんだよ?」
「いいからいいから♪」
「………やっぱここかな?」
そう言って俺は胸に手を当てたのを覚えている。
あのときの俺は、本当はどこにあるかなんてわからなかった。
だから、なんとなくそこに手を当てたのだ。
「それともここか?」
そう言って今度は自分の頭に触れた。
心とは感情の引き出しのようなもので脳が指令を下しているのだと思ってそこに触れたのだ。
「いや………それともここじゃないか?」
そう言って最後に指差したのは彼女の左手の薬指。
「………だから結婚指輪をこの指にはめるんじゃないのかな」
我ながらキザったらしい答えだと思う。
心臓にもない脳にもない何処にも見当たらない心………決して肉眼では見えない心。
だったら意外な所にあるのだと思った。
どうせならここに………。
それにここに来る前に結婚指輪を選んだばっかりだったからな。
「あははははははははは!」
「んなっ!笑うなよ!!」
「ぷくく………あなたって意外とロマンチストなんですね〜」
「なんだよ、悪いかよ。………じゃあお前は何処にあると思ってんだよ?」
笑われた事にムッとしたのか俺は彼女に聞き返した。
「うーん………そうですねェ………」
悩むそぶりを見せる彼女。
だがその目は答えを見つけている目だった。
だから彼女の答えは真偽はどうあれ、とても力強いものだったのを俺は覚えている。
──あれはいつだったろうか。
“彼女”がまだ俺のそばにいた頃なのは覚えている。
夕暮れの茜色と、海の紺碧のコントラストの美しさ……そして夕陽に照らされる彼女の横顔の美しさが今でも忘れられない。
「………心って何処にあると思いますか?」
唐突な質問。
そう聞かれたのは結婚指輪を見に行った帰りに、彼女とふたりで夕暮れの海に寄り道したときのことだ。
しかもなんの前触れもなく………いや、前触れはあったか。
テレビでそんな話を得意気にしていた男がいたっけか。
「あぁ?なんだよ?」
「いいからいいから♪」
「………やっぱここかな?」
そう言って俺は胸に手を当てたのを覚えている。
あのときの俺は、本当はどこにあるかなんてわからなかった。
だから、なんとなくそこに手を当てたのだ。
「それともここか?」
そう言って今度は自分の頭に触れた。
心とは感情の引き出しのようなもので脳が指令を下しているのだと思ってそこに触れたのだ。
「いや………それともここじゃないか?」
そう言って最後に指差したのは彼女の左手の薬指。
「………だから結婚指輪をこの指にはめるんじゃないのかな」
我ながらキザったらしい答えだと思う。
心臓にもない脳にもない何処にも見当たらない心………決して肉眼では見えない心。
だったら意外な所にあるのだと思った。
どうせならここに………。
それにここに来る前に結婚指輪を選んだばっかりだったからな。
「あははははははははは!」
「んなっ!笑うなよ!!」
「ぷくく………あなたって意外とロマンチストなんですね〜」
「なんだよ、悪いかよ。………じゃあお前は何処にあると思ってんだよ?」
笑われた事にムッとしたのか俺は彼女に聞き返した。
「うーん………そうですねェ………」
悩むそぶりを見せる彼女。
だがその目は答えを見つけている目だった。
だから彼女の答えは真偽はどうあれ、とても力強いものだったのを俺は覚えている。