3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!
「貴様ッ!それでもっ!
ぐっ……仮面ライダーかっ!!」
「黙れ」
「ぐっ!!」
モンキーマンは機械の拳を受け続けながらも私に向かってそう叫ぶ。
奴の声など聞く気にもなれない……私は操縦桿を操り、奴に機械の拳を叩きつける。
「俺を…………俺たちを殴って………楽しいか……?」
「楽しいよ」
「ぐっ!!」
奴の言葉に耳を貸す必要もない。
奴は敵。私の敵。敵は倒すだけ。
鉄の拳は奴に容赦なく撃ちつけられる。
機械的に。無慈悲に。
「だったらお前は………
仮面ライダー………ですらないな……!」
「………?」
「俺の知っている仮面ライダーは………!
お前のように………!
ただ暴力を振るう“だけ”の存在じゃあないからなッ!」
───黙れ。
何も知らない癖に。弱い癖に。
私の憤りに反応するかのように拳は奴に撃ちつけられる。
骨が砕け、肉が裂けるような音が響き渡る。
その度に千花の体がびくんと跳ね、千花は目をつむり耳をふさぎ、蹲ってしまう。
「いいかよく聞け………!
俺の知っている仮面ライダーはなぁ………!
体が自分のものじゃなくなって!
愛する人を力一杯抱き締めることも出来なくなった怪物の体で!
それでも誰かを護るために!人間の自由のために戦っている!
そして俺たちのように自分の意思で組織の呪縛から逃れられない『同類』を!
その心を“救う”ためにその拳を振るってるんだよ!!」
「うるさい………」
「だがお前はどうだ!?
俺たちを殴っても、何も感じなかっただろ………?
ぐっ………俺たち改造人間だって元はただの人間さ………!
お前たちとどこも変わらない………!
アニマルは………俺の憧れた仮面ライダーは………それを解ってくれてた」
────黙れ。黙れ黙れ黙れ黙れ…………。
私の元いた世界は危険な怪物が山ほどいて………他の世界のように安全なんか保証されていない。“殺らなきゃ殺られる”世界なんだ。
暴力への罪悪感なんて感じてたら………
私も………大切な人たちも殺されてしまう。
でも…………
「……………ッ」
───言い返せない。操縦桿すら動かせない。
奴の戯れ言なんていくらでも反論できるはずなのに。
こんな奴殴って黙らせればいいだけなのに。
「本当は生真面目で、暴力を振るうことすら嫌いなお人好しの癖に……仮面で本当の気持ちを隠して俺たちの茶番 に律儀に付き合ってくれるんだ……。
本当は自分だって辛いハズなのに。
………自分だけが暴力を振るいつづけ、同類を看取り続けるんだ………同類を絶滅させるまで永遠に。
でも………あのお人好しは仮面の下で泣きながら弱音すら吐かずに、その宿命を全うしようと戦っている!
そんな奴だからこそ俺は!
俺たちは!仮面ライダーが大好きなんだ!
だからこそ俺たちも全力で“怪人”として生まれ変わったその宿命を全うできる!
だからこそ!そんな仮面ライダーを超えたくて戦いを挑むんだよ!」
「うるさい………」
黙れ………
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ………。
なんだよ宿命って………どいつもこいつも………。
何も知らない癖に………あんたたちだって…………!
「だけどお前は違う!
何でもかんでも人や環境のせいにして………
気に入らないものを力で黙らせてるだけの最低最悪のクズだ!!
お前みたいな卑怯ものを!俺は仮面ライダーとは認めないッ!!」
「黙れェェェェ!!」
私は折れるのではというほどの力で操縦桿を振るい、機械の腕を振るう。
ドスンという重い音が響き渡る。
───耐えきれなかった。何もかも。
「だったら……っ!
お前の後ろにいる女の子を見ろ!」
「………黙れ!!」
───そんなのお前に言われなくたってわかってる。
千花が怯えているのは。千花が泣いているのは。
あんなに優しくて繊細な子がこんな光景をみたいなんて思う訳などない。
それでも私は………鉄の拳を奴の顔面に叩き込む。
グシャッという音がこだまする。
血液かそれとも改造人間特有のオイルか。
そのどちらとも判別のつかない液体にまみれた鉄の拳は何度も何度も奴の体に叩きつけられる。
それでも奴の減らず口は消えることなどなかった。
「………護るべき者からも目を背けて……何が希望の担い手 だ………!
結局お前は………最初からそんなのどうでもよかったんだよ!
結局は理由をつけて暴力を振るいたいだけじゃないか!
自分の力を見せつけて周りからチヤホヤされたいだけじゃないか!!
そんな奴が………ぐっ………
“希望の担い手 ”を名乗るな……!!
仮面ライダーの名前を……汚すなぁぁっ!!」
「黙れェェェェェェェェ!!!」
《キメワザ………!》
エクスライザーから発せられる“私”刑宣告。
それと同時に私は奴の体を天高く放り投げる。
マキシマムのぞみんと呼ばれた機械人形の脚に宿る破壊のエネルギー。
それは“私”自らが奴を死刑にしてやる決意表明に他ならない。
《のぞみん………!クリティカルブレイク………!》
コックピットの操縦桿、スイッチを操作し投げ飛ばした奴より高く飛び上がる。
これだけの巨体を誇りながらも、全身に取り付けられたスラスターにより、その推力は通常時すら上回る。
そして…………
「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
エネルギーの奔流を纏った機械の脚をつきだし、巨大なエネルギーの矢となった私の体はモンキーマンの体をも貫いた。
“それ”を掻き消したのは断末魔にも似た私の叫びか、奴の体を呑み込んだ爆炎か。
断末魔すらあげることなく、この空を彩る赤く煌めく焔と空に轟く爆音と共に……奴は一片の欠片すら残さずに消えていった。
───私は道化だ。
結局何一つとして奴の言葉に反論する術を持ち合わせてなどいなかったことを、自ら証明してしまったのだから。
ぐっ……仮面ライダーかっ!!」
「黙れ」
「ぐっ!!」
モンキーマンは機械の拳を受け続けながらも私に向かってそう叫ぶ。
奴の声など聞く気にもなれない……私は操縦桿を操り、奴に機械の拳を叩きつける。
「俺を…………俺たちを殴って………楽しいか……?」
「楽しいよ」
「ぐっ!!」
奴の言葉に耳を貸す必要もない。
奴は敵。私の敵。敵は倒すだけ。
鉄の拳は奴に容赦なく撃ちつけられる。
機械的に。無慈悲に。
「だったらお前は………
仮面ライダー………ですらないな……!」
「………?」
「俺の知っている仮面ライダーは………!
お前のように………!
ただ暴力を振るう“だけ”の存在じゃあないからなッ!」
───黙れ。
何も知らない癖に。弱い癖に。
私の憤りに反応するかのように拳は奴に撃ちつけられる。
骨が砕け、肉が裂けるような音が響き渡る。
その度に千花の体がびくんと跳ね、千花は目をつむり耳をふさぎ、蹲ってしまう。
「いいかよく聞け………!
俺の知っている仮面ライダーはなぁ………!
体が自分のものじゃなくなって!
愛する人を力一杯抱き締めることも出来なくなった怪物の体で!
それでも誰かを護るために!人間の自由のために戦っている!
そして俺たちのように自分の意思で組織の呪縛から逃れられない『同類』を!
その心を“救う”ためにその拳を振るってるんだよ!!」
「うるさい………」
「だがお前はどうだ!?
俺たちを殴っても、何も感じなかっただろ………?
ぐっ………俺たち改造人間だって元はただの人間さ………!
お前たちとどこも変わらない………!
アニマルは………俺の憧れた仮面ライダーは………それを解ってくれてた」
────黙れ。黙れ黙れ黙れ黙れ…………。
私の元いた世界は危険な怪物が山ほどいて………他の世界のように安全なんか保証されていない。“殺らなきゃ殺られる”世界なんだ。
暴力への罪悪感なんて感じてたら………
私も………大切な人たちも殺されてしまう。
でも…………
「……………ッ」
───言い返せない。操縦桿すら動かせない。
奴の戯れ言なんていくらでも反論できるはずなのに。
こんな奴殴って黙らせればいいだけなのに。
「本当は生真面目で、暴力を振るうことすら嫌いなお人好しの癖に……仮面で本当の気持ちを隠して俺たちの
本当は自分だって辛いハズなのに。
………自分だけが暴力を振るいつづけ、同類を看取り続けるんだ………同類を絶滅させるまで永遠に。
でも………あのお人好しは仮面の下で泣きながら弱音すら吐かずに、その宿命を全うしようと戦っている!
そんな奴だからこそ俺は!
俺たちは!仮面ライダーが大好きなんだ!
だからこそ俺たちも全力で“怪人”として生まれ変わったその宿命を全うできる!
だからこそ!そんな仮面ライダーを超えたくて戦いを挑むんだよ!」
「うるさい………」
黙れ………
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ………。
なんだよ宿命って………どいつもこいつも………。
何も知らない癖に………あんたたちだって…………!
「だけどお前は違う!
何でもかんでも人や環境のせいにして………
気に入らないものを力で黙らせてるだけの最低最悪のクズだ!!
お前みたいな卑怯ものを!俺は仮面ライダーとは認めないッ!!」
「黙れェェェェ!!」
私は折れるのではというほどの力で操縦桿を振るい、機械の腕を振るう。
ドスンという重い音が響き渡る。
───耐えきれなかった。何もかも。
「だったら……っ!
お前の後ろにいる女の子を見ろ!」
「………黙れ!!」
───そんなのお前に言われなくたってわかってる。
千花が怯えているのは。千花が泣いているのは。
あんなに優しくて繊細な子がこんな光景をみたいなんて思う訳などない。
それでも私は………鉄の拳を奴の顔面に叩き込む。
グシャッという音がこだまする。
血液かそれとも改造人間特有のオイルか。
そのどちらとも判別のつかない液体にまみれた鉄の拳は何度も何度も奴の体に叩きつけられる。
それでも奴の減らず口は消えることなどなかった。
「………護るべき者からも目を背けて……何が
結局お前は………最初からそんなのどうでもよかったんだよ!
結局は理由をつけて暴力を振るいたいだけじゃないか!
自分の力を見せつけて周りからチヤホヤされたいだけじゃないか!!
そんな奴が………ぐっ………
“
仮面ライダーの名前を……汚すなぁぁっ!!」
「黙れェェェェェェェェ!!!」
《キメワザ………!》
エクスライザーから発せられる“私”刑宣告。
それと同時に私は奴の体を天高く放り投げる。
マキシマムのぞみんと呼ばれた機械人形の脚に宿る破壊のエネルギー。
それは“私”自らが奴を死刑にしてやる決意表明に他ならない。
《のぞみん………!クリティカルブレイク………!》
コックピットの操縦桿、スイッチを操作し投げ飛ばした奴より高く飛び上がる。
これだけの巨体を誇りながらも、全身に取り付けられたスラスターにより、その推力は通常時すら上回る。
そして…………
「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
エネルギーの奔流を纏った機械の脚をつきだし、巨大なエネルギーの矢となった私の体はモンキーマンの体をも貫いた。
“それ”を掻き消したのは断末魔にも似た私の叫びか、奴の体を呑み込んだ爆炎か。
断末魔すらあげることなく、この空を彩る赤く煌めく焔と空に轟く爆音と共に……奴は一片の欠片すら残さずに消えていった。
───私は道化だ。
結局何一つとして奴の言葉に反論する術を持ち合わせてなどいなかったことを、自ら証明してしまったのだから。