3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

《ときめきっ!オーシャンビーム!》


私は耐えきれず、魔法を発動させ自分の顔と手を洗う。


意識こそすみっこに追いやられているとはいえウ……ダークマターを叩きつけられたのは私本人の顔面である。


私だって女の子なんだ。こんなの耐えられるわけないでしょ!



「許さんだっちゃこのエテ「「「「だーっはっはっはっはっ!!」」」」


「グエーーーーーッ!

ばっちぃだっちゃ!ばっちぃだっちゃ!びえーん!!」


私が反撃に転じようとした途端、モンキーマンと戦闘員たちが一斉にダークマターを投げ付けてくる。

あまりに汚いこの絵面。あまりに汚い戦略。


私は惨めったらしく逃げるしかない。


千花はどこからともなく取り出したビニール傘で飛んできたダークマターを防いでいる。



「千花ァ!自分ばっかりズルいだっちゃ!!」


「ノゾミお姉ちゃんは逞しいから大丈夫。多少キズモノにされたって」


「酷いだっちゃ!グエーーーーーッ!!」


私の頭にヒットするダークマター。


確かにこの尻の穴から捻り出されるダークマターをぶつけられた所でダメージもないし死にもしない。


でも、これは精神的にきつい。


たとえ関係各所からヨゴレ芸人と蔑まれようとも……私だって女の子なの!

なんでここまでハードなことされなきゃなんないの!?



「もうゆるさーーーん!!絶対ぶっ潰すだっちゃ!!」


《ときめきっ!ガシャポン!!》


「千花ァ!ガチャガチャ回すだっちゃ!!」


「え………えぇ…………」


地面を裂き、現れる巨大なガシャポンマシーン。

私は戸惑う千花をガシャポンマシーンの前に連れていき、ガシャポンのハンドルを回させる。


すると…………



「「「「ぎゃーーーーー!!」」」」


排出された巨大なカプセルがゴロゴロと転がり、戦闘員を潰していく。


カプセルが展開すると巨大な私の顔を模したメカが現れる。



《最大級ののぞみんパワー!ノゾノゾーン!ノゾズバーン!

最大級ののぞみんパワー!ノゾノゾーン!ノゾズバーン!》


「えー………なにこれ………」


「とぉうっ!!」


アニメさながらの歌と召喚されたメカを見て呆然とする千花。


しかし、そんな千花をよそに私はメカに飛び乗る。



《マキシマーーーム!のぞーーーー!みーーーーーーーん!!》


私がメカに乗り込むと同時に腕と脚が出現して私の顔を模した4メートルほどのパワードスーツのようなものになってしまう。


design



「マキシマムのぞみんだっちゃ!

どうだっちゃ?かっこいいだっちゃ?」


私は千花に顔を向ける。

千花はというと今までにないくらい顔をひきつらせて……………




「う、うん………かっこいいと、おもう………よ」


嘘だぁぁぁぁ!絶対『うわぁ……だっさ……』とか思ってるやつ!!


だって私も薄々ダサいって思ってるもん!!


ていうか何このデザイン!?


私の顔ってそんなに面白い顔してる!?
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