3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!
爆発音の大きさと、爆炎が上がってから爆音が響くまでのタイムラグから距離はそれなりにあることはわかった。
そして爆炎が上がった方向から考えると郊外の採石所の方だろうか。
「なんで……!なんで………!」
千花を残し、ひとり戦地へ赴く中、私は自身の醜さを痛感させられていた。
千花は『私と出逢うために生まれてきた』と言ってくれた。
『自分が私の希望 になる』とも。
でも私はあの瞬間、千花を家族の代換品だって思ってしまった。
行為には及ばなかったが、あの子の想いを踏みにじっていたんだ。
「ごめん………ごめんね………千花」
懺悔の念を口にしつつ溢れる涙をぬぐい、戦地にたどり着く。
見立て通り、そこは郊外の採石所だった。
市街地の郊外とはいえ、こんな所に採石所があるというのはいささか不思議だが、そうも言っていられない。
目の前には黒い全身タイツのガスマスクをした俗に言う戦闘員というやつと、その奥に猿を模した怪人。
頭には輪のようなものをつけ、茶色の体毛の所々が赤と白に彩られた全身。
この世界の伝承でいうなら『西遊記』の『孫悟空』に似ているのだろうか。
「ハーッハッハッハ!なんだ来たのは小娘ただひとりかァ!!」
「………なんなんだよ」
猿の姿をした怪人は高らかに笑い声をあげると戦闘員たちを掻き分けるようにして、私の前に出る。
「俺はジェネシスコーポレーションの改造人間!
地獄から蘇ったモンキーマ「黙れッ!!」
「「「「なっ!?」」」」
声高らかに名乗りをあげる猿怪人……『モンキーマン』の言葉を遮り、私は奴を……奴らを睨む。
「なんで………?なんで貴方たちはいつも私たちから大切なものを奪うの?
なんで……なんで…………!」
「ど、どうしようお前ら………なんか、場違いだったかな俺ら………」
「ふ、フニーッ!
……な、ななな何を弱気になってるんですかモンキーマン様ァ!」
分かりやすく狼狽える怪人たち。
こんな奴らの事なんか知るか………すぐに終わらせてやる………!
《EXCEED HOPE!!》
《シャバドゥビタッチヘンシーン!》
《インフィニット!エクシーーーードッ!!》
五色の魔法陣をくぐり抜け、空色と白銀の魔法衣を身に纏う。
そして専用武器であるシザースセイバーガンを召喚すると手近な敵に斬りかかるが………
「フニーッ!!」
「嘘っ!?」
戦闘員は私の攻撃を読んでいたと言わんがばかりにその攻撃を受け止めてしまう。
「トエァッ!!」
「うっ!?」
そこに間髪いれずに棍棒を振るうモンキーマン。
私は棍棒の直撃を受けて仰け反ってしまう。
さらに戦闘員による一斉射撃を受けてしまう。
統率の取れた攻撃とはこういうものをいうのだろうか。
「………なんで………なんでこんな奴らに………!」
銃撃を受ける中、私はNS能力を発動させようとするがNSが発動する気配すらない。
やっぱりジルにあの時何かされたんだ……。
NSさえ……NSさえあればこんな奴らに苦戦することなんてないのに………!
「………あぁぁぁぁ!!」
《CAROL!》
「遅いッ!!」
「っ!?きゃあぁぁぁっ!!」
私はキャロルメモリを起動させ、マキシマムスロットに装填しようとするも、モンキーマンの棍棒にはたき落とされてしまい、更に蹴りを受ける。
地面に何度も叩きつけられ、私の体は地面に転がる。
「…………力さえあればこの俺に勝てると思ったか?んん?」
「ぐっ!?」
立ち上がろうとした私の頭をあのエテ公が踏みつける。
なんで………このインフィニットエクシードは私の最強の力。
相手はジニアじゃないのに………
ただの怪人なのに、なんでこうも手も足も出ないの………?
「くっ………うぅぅぅ…………」
立ち上がれない。
体に力が入らない。
私は悔しさのあまり、唇が切れるまで噛み締める。
───悔しさを噛み締める中、私の頬に熱いものが伝うのであった。
そして爆炎が上がった方向から考えると郊外の採石所の方だろうか。
「なんで……!なんで………!」
千花を残し、ひとり戦地へ赴く中、私は自身の醜さを痛感させられていた。
千花は『私と出逢うために生まれてきた』と言ってくれた。
『自分が私の
でも私はあの瞬間、千花を家族の代換品だって思ってしまった。
行為には及ばなかったが、あの子の想いを踏みにじっていたんだ。
「ごめん………ごめんね………千花」
懺悔の念を口にしつつ溢れる涙をぬぐい、戦地にたどり着く。
見立て通り、そこは郊外の採石所だった。
市街地の郊外とはいえ、こんな所に採石所があるというのはいささか不思議だが、そうも言っていられない。
目の前には黒い全身タイツのガスマスクをした俗に言う戦闘員というやつと、その奥に猿を模した怪人。
頭には輪のようなものをつけ、茶色の体毛の所々が赤と白に彩られた全身。
この世界の伝承でいうなら『西遊記』の『孫悟空』に似ているのだろうか。
「ハーッハッハッハ!なんだ来たのは小娘ただひとりかァ!!」
「………なんなんだよ」
猿の姿をした怪人は高らかに笑い声をあげると戦闘員たちを掻き分けるようにして、私の前に出る。
「俺はジェネシスコーポレーションの改造人間!
地獄から蘇ったモンキーマ「黙れッ!!」
「「「「なっ!?」」」」
声高らかに名乗りをあげる猿怪人……『モンキーマン』の言葉を遮り、私は奴を……奴らを睨む。
「なんで………?なんで貴方たちはいつも私たちから大切なものを奪うの?
なんで……なんで…………!」
「ど、どうしようお前ら………なんか、場違いだったかな俺ら………」
「ふ、フニーッ!
……な、ななな何を弱気になってるんですかモンキーマン様ァ!」
分かりやすく狼狽える怪人たち。
こんな奴らの事なんか知るか………すぐに終わらせてやる………!
《EXCEED HOPE!!》
《シャバドゥビタッチヘンシーン!》
《インフィニット!エクシーーーードッ!!》
五色の魔法陣をくぐり抜け、空色と白銀の魔法衣を身に纏う。
そして専用武器であるシザースセイバーガンを召喚すると手近な敵に斬りかかるが………
「フニーッ!!」
「嘘っ!?」
戦闘員は私の攻撃を読んでいたと言わんがばかりにその攻撃を受け止めてしまう。
「トエァッ!!」
「うっ!?」
そこに間髪いれずに棍棒を振るうモンキーマン。
私は棍棒の直撃を受けて仰け反ってしまう。
さらに戦闘員による一斉射撃を受けてしまう。
統率の取れた攻撃とはこういうものをいうのだろうか。
「………なんで………なんでこんな奴らに………!」
銃撃を受ける中、私はNS能力を発動させようとするがNSが発動する気配すらない。
やっぱりジルにあの時何かされたんだ……。
NSさえ……NSさえあればこんな奴らに苦戦することなんてないのに………!
「………あぁぁぁぁ!!」
《CAROL!》
「遅いッ!!」
「っ!?きゃあぁぁぁっ!!」
私はキャロルメモリを起動させ、マキシマムスロットに装填しようとするも、モンキーマンの棍棒にはたき落とされてしまい、更に蹴りを受ける。
地面に何度も叩きつけられ、私の体は地面に転がる。
「…………力さえあればこの俺に勝てると思ったか?んん?」
「ぐっ!?」
立ち上がろうとした私の頭をあのエテ公が踏みつける。
なんで………このインフィニットエクシードは私の最強の力。
相手はジニアじゃないのに………
ただの怪人なのに、なんでこうも手も足も出ないの………?
「くっ………うぅぅぅ…………」
立ち上がれない。
体に力が入らない。
私は悔しさのあまり、唇が切れるまで噛み締める。
───悔しさを噛み締める中、私の頬に熱いものが伝うのであった。