3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

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「………やっと静かになったね」


セッテや勇騎さんたちから離れ、私は千花に連れられて願葉駅にやって来た。

ここは願葉区の中央に位置する駅であり、十数年前に改装され現在のような大きな駅になったんだそうな。


なんで魔法世界の私が『駅』や『電車』というものを知っているかというと私の仲間に『サイライナー』なる科学世界でいうところの電車によく似た乗り物に乗る仲間がいたからだ。



「どう?ノゾミお姉ちゃん。願葉駅は凄いでしょ?」


「うん………」


願葉駅に入り、私は辺りを見回して息をのむ。

ショッピングモールやレストランが入っており、どこも人で賑わっている。



「ノゾミお姉ちゃん!あの洋服屋とか行ってみない?」


「あ、うん……いいよ」


──昨日の今日でまたヘマはしたくない。

少々しこりのようなものはあるが、私は千花に迷惑をかけたくない一心で彼女についていく。


そういえば、勇騎さんたちと合流してからは何もないときはセッテすら遠ざけるようになって、一人で過ごすことが多くなった気がする。

なんというか……なにもかも心から楽しめなくなってしまった。



こうやって誰かと遊ぶのはいつ以来だろうか。

ウェズペリアが消滅して半年だけど、凄く懐かしく感じてしまう。



「ノゾミお姉ちゃんに似合いそうなのどれかなぁ………?」


私たちは中に入り、売られている服を見ていく。
やはり中心街に位置する洋服屋だけあり、若者向けの洋服が多い印象を抱く。


服に関しては、ウェズペリアに居たときから着ていた服とこちらに来てからもらった服以外、私は理緒に選んでもらった服や体型がよく似たノエルちゃんのおさがりを借りていたぐらいだった。

こうやって洋服を買いにいくことは殆どなかったが、これならセッテも連れてくればよかったかな。



「見てみて!ノゾミお姉ちゃん!

これ似合いそうー!!」


物思いに耽っていると、千花の声が響きわたる。

千花の手にはししゃもの体にネコの頭がついた『ししゃもねこ』なるキャラクターがプリントされてTシャツ。


しかも頭の近くに描かれた吹き出しには『キャラメルプリンケーキにゃー!』なる文字が。


うーん…………あれー?このデザイン似たようなの見たことあるぞー?




「アタシには似合わないだろうけど、きっとノゾミお姉ちゃんになら似合うよ!!」


「え、えぇ…………」


千花の服も白と青を基調にしたガーリッシュな服は彼女に凄くよく似合ってる。

おそらくファッションセンスは人並みくらいなんだろう。



でも……いや、だからこそ聞きたい。



千花にしても彰一さんにしても……
私に着せるってなったら、なんで、みんなダサTを選んでくるの!?


そんなに私に似合う!?そんなに私に似合うの!?
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