3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

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「……………zzz」


「「………お……………おわんねぇ!!」」


残り2つになってから、どれだけ時間が経ったのだろうか。

外は白んできており、鳥のさえずりが聞こえてくる。


あぁ………もう、朝なんだ。



亨多は眠気が限界に達してとっくに眠ってしまった。


まぁ、コイツは21時くらいになったら是が非でも寝てしまうような奴だったけど、最近は夜更かしばかりさせてたような気がする。


…………今回もよく頑張ってくれたと思うよ。




「………勇騎さぁん…………セッテのイージスゼクターの配線、これでいい?」


「ば、バカ野郎………配線ミスしてんじゃねーか………コレじゃキャストオフが発動しねぇよ。

タブレットに正しい配線の写真あるからそれ参考にしてくれ」


「………わ、わりぃ。今直す」


眠気が来ているのか、勝利の方も配線ミスをやらかしてしまう。

この間の戦闘で故障した部分があり、一旦配線されていた基盤等を全て取り除き、オーバーホールさせたのだが、亨多ほど慣れてない上にメンテナンスに付き合わせたせいで、まともに眠れてない日が続いているのにコイツもよくやってくれる。


出会ったばかりの頃は生意気な奴だとおもってたけど……今ではこうして文句も言わずにタブレットの写真を参考に配線をやり直してくれる。



「………しっかし……ノゾミのライダーシステムって、本当にどうなってるんだ……?」


俺の場合は怪我の痛みがいい眠気覚ましになってくれており、勝利や亨多ほど眠たくはない。

ノゾミのライダーシステム……『ホープドライバー』はウィザードライバーや白い魔法使いこと仮面ライダーワイズマンや黄金の魔法使いこと仮面ライダーソーサラー、仮面ライダーメイジなどが使う『ワイズドライバー』に形状こそ似ているがその根幹は恐らく全く違う。


ウィザードを代表するライダー……通称『指輪の魔法使い』たちは魔力を引き出すために『ファントム』と呼ばれる怪物をその体内に飼い、ファントムが生み出す魔力と、その魔力を引き出す指輪によって魔法を発動させる。


しかしノゾミは魔法が発達した世界から来たとは言っているが、ファントムが原生生物として存在している訳でもなく、そもそも指輪を媒介とせずともある程度の魔法が使用出来る。

そのため、ノゾミは他の指輪の魔法使いのようにその体内にファントムを宿す必要もなければ、そもそも指輪の魔法使いに変身する必要すらないのだ。

それにノゾミ自身も自分はファントムを飼っているかは分からないとすら言っていた。




その言葉が本当なら、ホープドライバーはノゾミ自身から魔力をひきだしているのだろうが、“ノゾミ本人はどこから魔力を引き出しているんだよ”?








「………今はどうでもいいか」





──余計なこと考えちまった。


とにかく早く終わらせなければ俺自身も休めない。

俺もとっくに体力の限界が来てるからなぁ………。


勝利の奴も俺が考え事してる間にイージスゼクターをなおし終わったようだしな。



「さぁ………ラストスパートと行くか!」


──嗚呼、早く終わらして早く休みたい。


俺は買いだめしたエナジードリンクを飲み干すとラストスパートをかけるのであった。
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