3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!
──RIVEL SIDE──
何処かに出掛けていたノゾミと新入りの女の子……確か千花って言ってたっけか。
二人が帰ってきて、二人してノゾミの部屋で眠りについた頃。
俺は亨多と勝利と共にノゾミのも含めた仲間たち全員ライダーシステムのメンテナンスをしていた。
「………亨多、将のクロスドライバーXのメンテ、頼めるか?」
「ふぁぁぁい………」
亨多は眠そうにしながらもエナジードリンクをがぶ飲みしつつ、手際よくクロスドライバーXを分解するとメンテナンスを始めていく。
………なるほど、確かに勝利のライダーシステムのメンテナンスを一人でやっていただけのことはある。
「………勇騎さん、こっちはどうすればいい?」
「あぁ、それは破損している部品を新品のやつに交換すればオーケーだ。
……部品の在庫あったか?」
「在庫は勇騎さんの部屋にある分で問題ないよ。あと理緒の指輪、昨日だったかの戦いで基盤がショートしてたっぽいから直しといた。そっち終わってからでいいしチェックお願い」
「わりぃ、サンキューな」
………そして、勝利も最近になってメンテナンスを手伝ってくれるようになったが、こいつには驚かされる。
ライダーシステムのメンテナンスをするようになって、日は浅いというのに簡単なメンテナンスやオーバーホールだけならこいつ一人で出来るようになってしまったのだ。
これは本人の努力というのもあるが、恐ろしく吸収が早い。そしてそれを形にするのも。
「勇騎さん、クロスドライバーXの方も普通の方も治したからチェックよろしく………ふぁぁぁ………」
「サンキュー」
…………うん、見事に若人に仕事をとられまくってる。
これも負傷した俺を気遣ってのことだろうが……少し寂しい気もする。
勝利と亨多、そしてここにはいない孟の3人はチームバルチャーなんて名乗ってアンゲロス狩りを始める前『霧継院 』なる孤児院で育てられていたという。
そこの霧継院で3人を育てていたのはあの男………Re:BUILDのボス、ジニア・ロックディールだ。
そして、度々エキセントリックな発想で暴走するも、亨多がジニアの能力を最も受け継いだのかもしれない。
その手先の器用さや自身のイメージしたものを形にする頭脳と技術力……それは一緒にライダーシステムをメンテナンスしていてよく分かる。
「………勇騎さん、あとは俺ら二人でも出来るしもう寝なよ?
チェックは朝でいいからさ」
「いいや、まだお前たちに現場は任せられねぇよ……」
「………頼みの綱のガンバライジング社も人手不足だからか?」
俺の体を気遣ってか勝利はそういうのだが、俺一人が休む訳にはいかない。
神崎によって、確かにガンバライジング社とのコネクションを持てるようになった。
しかし今年に入ってからガンバライジング社も世界中にいるRe:BUILDの構成員により、ガンバライジング社の支社や研究所、ライダーシステムの生産工場等が襲撃・破壊されているのだ。
それに伴う負傷兵の治療などに人員を割かれたために、姫矢の街で戦う俺たちは満足にサポートを受けられていないのが現実なのである。
そして、こっちもガンバライジング社の特殊任務に人員を割かれた以上、例え絶対安静の怪我を負っていようが、出来る奴がメンテナンスをしなければたちまち仮面ライダーは全滅してしまう。
「先生……じゃなかった……ジニアのやり方ってさ、やられた側からはたまったもんじゃないけど……理にはかなってるよね。
敵を殺すだけじゃなくて、供給源を叩いてそこを護る奴らを負傷させ、負傷者を出しまくる。そして人員を負傷者の手当てと施設の復旧に割かせるんだ。
そしてこっちが自由に行動出来ないのをいいことに、メディアによる印象操作で自分の身を守って戦力を固める………本当にうまいことやるよ」
「お前………」
勝利の言う通り、Re:BUILDによるガンバライジング社の襲撃は徹底した報道規制により、メディアでは報道されない。
それどころかシャングリラとかいう国を滅ぼした『あるライダー』の姿が日本を含めて報道されたが為に世論は仮面ライダーを敵視する風潮になりつつある。
そして今年の3月には『マンセイバー』なる政府直属の仮面ライダー討伐隊が結成されることが正式に決定したそうだ。
だから俺たちも下手に人前で変身することすら出来ないのだ。
「………でもあの人はまだ総攻撃してこない。
これは俺たちを精神的に追い込んで疲弊させることが目的なんだろうな……俺たちもエクスライザー持ち始めたしな」
「………」
「そして、俺があの人の立場だったらまだ総攻撃はしないかな。
例えば……敵に自分の所のスパイを送り込んで、仲間割れさせるように仕向ける。
これだけ退路と対抗手段を潰したんだ。
敵が精神的に疲弊してるのは日の目を見るより明らかだし。
まっ、鉄板中の鉄板すぎるけどね」
「スパイってお前…………冗談でもそういうこと言うなよな」
「ごめんごめん」
──あぁ、そうだ。
コイツがジニアから受け継いだのは戦闘センスやヴァルツだけじゃない。
覚えたことを吸収し自分のものに出来てしまう柔軟さと、冷酷なまでに合理的な思考、それを躊躇いもなく実行出来るマインドだ。
現にムラはあるものの、コイツの発想に助けられたことは何度もあるし、コイツ自身それで窮地を何度も脱している。
そして、コイツが敵に回った時……俺たちライダー同盟は壊滅寸前にまで追い詰められた。
──だからこそ勝利は俺たちが導かなければならない。
ジニアのようにならない為にも、な。
何処かに出掛けていたノゾミと新入りの女の子……確か千花って言ってたっけか。
二人が帰ってきて、二人してノゾミの部屋で眠りについた頃。
俺は亨多と勝利と共にノゾミのも含めた仲間たち全員ライダーシステムのメンテナンスをしていた。
「………亨多、将のクロスドライバーXのメンテ、頼めるか?」
「ふぁぁぁい………」
亨多は眠そうにしながらもエナジードリンクをがぶ飲みしつつ、手際よくクロスドライバーXを分解するとメンテナンスを始めていく。
………なるほど、確かに勝利のライダーシステムのメンテナンスを一人でやっていただけのことはある。
「………勇騎さん、こっちはどうすればいい?」
「あぁ、それは破損している部品を新品のやつに交換すればオーケーだ。
……部品の在庫あったか?」
「在庫は勇騎さんの部屋にある分で問題ないよ。あと理緒の指輪、昨日だったかの戦いで基盤がショートしてたっぽいから直しといた。そっち終わってからでいいしチェックお願い」
「わりぃ、サンキューな」
………そして、勝利も最近になってメンテナンスを手伝ってくれるようになったが、こいつには驚かされる。
ライダーシステムのメンテナンスをするようになって、日は浅いというのに簡単なメンテナンスやオーバーホールだけならこいつ一人で出来るようになってしまったのだ。
これは本人の努力というのもあるが、恐ろしく吸収が早い。そしてそれを形にするのも。
「勇騎さん、クロスドライバーXの方も普通の方も治したからチェックよろしく………ふぁぁぁ………」
「サンキュー」
…………うん、見事に若人に仕事をとられまくってる。
これも負傷した俺を気遣ってのことだろうが……少し寂しい気もする。
勝利と亨多、そしてここにはいない孟の3人はチームバルチャーなんて名乗ってアンゲロス狩りを始める前『
そこの霧継院で3人を育てていたのはあの男………Re:BUILDのボス、ジニア・ロックディールだ。
そして、度々エキセントリックな発想で暴走するも、亨多がジニアの能力を最も受け継いだのかもしれない。
その手先の器用さや自身のイメージしたものを形にする頭脳と技術力……それは一緒にライダーシステムをメンテナンスしていてよく分かる。
「………勇騎さん、あとは俺ら二人でも出来るしもう寝なよ?
チェックは朝でいいからさ」
「いいや、まだお前たちに現場は任せられねぇよ……」
「………頼みの綱のガンバライジング社も人手不足だからか?」
俺の体を気遣ってか勝利はそういうのだが、俺一人が休む訳にはいかない。
神崎によって、確かにガンバライジング社とのコネクションを持てるようになった。
しかし今年に入ってからガンバライジング社も世界中にいるRe:BUILDの構成員により、ガンバライジング社の支社や研究所、ライダーシステムの生産工場等が襲撃・破壊されているのだ。
それに伴う負傷兵の治療などに人員を割かれたために、姫矢の街で戦う俺たちは満足にサポートを受けられていないのが現実なのである。
そして、こっちもガンバライジング社の特殊任務に人員を割かれた以上、例え絶対安静の怪我を負っていようが、出来る奴がメンテナンスをしなければたちまち仮面ライダーは全滅してしまう。
「先生……じゃなかった……ジニアのやり方ってさ、やられた側からはたまったもんじゃないけど……理にはかなってるよね。
敵を殺すだけじゃなくて、供給源を叩いてそこを護る奴らを負傷させ、負傷者を出しまくる。そして人員を負傷者の手当てと施設の復旧に割かせるんだ。
そしてこっちが自由に行動出来ないのをいいことに、メディアによる印象操作で自分の身を守って戦力を固める………本当にうまいことやるよ」
「お前………」
勝利の言う通り、Re:BUILDによるガンバライジング社の襲撃は徹底した報道規制により、メディアでは報道されない。
それどころかシャングリラとかいう国を滅ぼした『あるライダー』の姿が日本を含めて報道されたが為に世論は仮面ライダーを敵視する風潮になりつつある。
そして今年の3月には『マンセイバー』なる政府直属の仮面ライダー討伐隊が結成されることが正式に決定したそうだ。
だから俺たちも下手に人前で変身することすら出来ないのだ。
「………でもあの人はまだ総攻撃してこない。
これは俺たちを精神的に追い込んで疲弊させることが目的なんだろうな……俺たちもエクスライザー持ち始めたしな」
「………」
「そして、俺があの人の立場だったらまだ総攻撃はしないかな。
例えば……敵に自分の所のスパイを送り込んで、仲間割れさせるように仕向ける。
これだけ退路と対抗手段を潰したんだ。
敵が精神的に疲弊してるのは日の目を見るより明らかだし。
まっ、鉄板中の鉄板すぎるけどね」
「スパイってお前…………冗談でもそういうこと言うなよな」
「ごめんごめん」
──あぁ、そうだ。
コイツがジニアから受け継いだのは戦闘センスやヴァルツだけじゃない。
覚えたことを吸収し自分のものに出来てしまう柔軟さと、冷酷なまでに合理的な思考、それを躊躇いもなく実行出来るマインドだ。
現にムラはあるものの、コイツの発想に助けられたことは何度もあるし、コイツ自身それで窮地を何度も脱している。
そして、コイツが敵に回った時……俺たちライダー同盟は壊滅寸前にまで追い詰められた。
──だからこそ勝利は俺たちが導かなければならない。
ジニアのようにならない為にも、な。