1話:魔法少女始めました!……ってなんのこと!?

「あとは戦闘技術や言語、一般教養などの知識の“学習”が必要だ。

このまま目覚めさせれば赤ん坊と同じだからな……。それじゃ意味がねぇ」


目の前の“兵器”を見据えながらそういうと、
ジニア様は試験管から離れ、棺桶サイズのコンテナの前へ。



コンテナには『HIDEN 』の文字。



「これは、一体………」


「本格的な作戦とテストは実験体の“学習”が終わってからだ。

……その前に、お前には並行してこっちの実戦テストをしてもらう」


あれほどのものを作っておいて、まだかくし球があろうとは………!

流石はジニア様。我が主君!


私ははやる気持ちを抑えてコンテナを開く。




その中にいたのは…………





《Take off toward a dream》


「人工知能搭載人型ロボ、“ヒューマギア”。

それを買い取り、俺が戦闘用にラーニングした個体。



その名も………“マボロシ”だ」







「まぼろし~~~~!!!」





────え?




「あ、あの……じ、ジニア様?

これはIKK……」


「マボロシだ」


───きっとこれは悪い夢だ。



我が主がこんなボケをかます訳がない。



目の前の“ソレ”を戦闘用ヒューマギアと言い張っているが、どうみてもコレは『どこかで見たことがある“あのタレント”』ではないか。



「どんだけ~~~~!!!」



しかもご丁寧に持ちネタまで披露している。

これでは否定のしようがない。



「だからこれはIK」


「マボロシだ。戦闘用ヒューマギア・マボロシだ。

決してIKKOなんかじゃねぇ」


自分で言ってるーーーー!

自分で言ってますよジニア様ァァ!!


薄々そう思ってるんだ!自分でもこれはIKKOだって!


きっとあれだ、自分で容姿をデザインするのが面倒になったからおまかせコースにしたのはいいけど届いたのがIKKOで後悔してるやつだコレ!


だって平静を装ってるけど全く顔合わせようとしないもん!絶対そうだわコレ!!
いつもの絵文字みたいな顔になってるもんコレ!!


(。・´_`・。)

こんな顔になってるもん!



「わかったらさっさと行ってこい」


「お、仰せの通りに………」


ハッ!私は何を!


ジニア様が是と言えば是。

白といえばたとえ黒であろうと白ではないか。


そうだ、これもIKKOなどではない。
戦闘用ヒューマギア・マボロシだ!!



私は自身に無理やり言い聞かせ、ジニア様にお辞儀をし、踵を返すとマボロシを連れコイツの実戦テストに乗り出した………。



「それにしても……あんた服のセンスなさすぎ~!私がコーディネートしてあげようかしら?」


「スクラップにされたいか貴様ァァァァ!!」



───だが、こいつとはウマが合わなさそうだ。
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