3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

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「………し、死ぬかと思った…………!」


デカいドリルを無理やり突っ込まれ、虫歯を削られるとレジンにより削った部分を塞ぎ、形を整えられた。


手鏡を見せられたが、虫歯は綺麗さっぱりなくなっているし、誤魔化さなくても痛みも退いている。


どうやら虫歯の方はそこまでひどくなかったようだ。



「もう、やりたくないわ………」


戦闘妖精曰くもう少し虫歯の進行が酷ければ、今度は神経を取り除く処置を施されるようだ。


………うん、戦闘妖精にそんなのされたら確実に死ぬ。




「ノゾミお姉ちゃん、大丈夫ー?」


床に倒れ伏す私の顔を、千花が覗き込んでくる。

さっきまでケラケラ笑うだけ笑って、バ勝利とダシの素、それからノエルちゃんと戦闘妖精は自分の部屋へと戻っていった。


あ、ちなみに戦闘妖精はダシ……もとい勇騎さんの部屋ね。

なんか勇騎さんが更なるバージョンアップするみたいで…………。



「な、なんとか……………」


隣で倒れているセッテはしきりに「アへァへァ」と言っており、しばらく起きそうにない。


ここまでくれば哀れである。



「ねぇ!ノゾミお姉ちゃん!これからアタシと遊びに行こうよ!」


「えー………もう夜だし………」


「いいじゃん!夜のデート!」


「うぅ…………」


────ウェズペリアが消滅し、ヴァルツの世界に迷い混んだ日。

Re:BUILDのリーダー、セッテの命を危険に晒した上にジニアに手も足も出せずに敗北した挙げ句、どこぞの錠前ディーラーの如く崖に生き埋めにされた。


それ以来、私は暗いところや狭いところに行くと錯乱してしまうようになり、部屋の灯りを消して眠ることすら出来なくなってしまった。 


無論、夜に外出などもってのほか。


ただこの街は『ひかりのまち』という異名の通り、夜でも昼間のように明るく四六時中賑わっている。


ただ、半年経った今でもやはり暗闇への恐怖は全くといっていいほど治っていない。


むしろシャングリラでの一件以降、悪化している。


気晴らしに遊びに行きたいけど、千花の前でパニックになんてなりたくないんだ。






「いいからいこっ!!」



「ちょっと!!」


しかし、千花は私の葛藤などなんのその。

私の手を引き、喫茶店を飛び出し駆け出すのであった。











「アへァへァへァ………」


……………………セッテをただひとり残して。
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