3話:ナカムラ、ヒーロー辞めるってよ……ってそこまでは言ってない!

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「出来たぞセッテ!!!」


あれから1時間。

日が暮れて冬茜が喫茶店を照らす中、作業用のツナギを着た勇騎さんが喫茶店に入ってくる。



「私の前歯、出来たんですか!?」


目をキラキラさせながら歯抜けのセッテが勇騎さんに駆け寄る。



「いや、お前の歯を作るのは俺じゃない………


…………こいつだ!!」


勇騎さんの言葉と共に、正面の入口から入ってくる巨体。

それは一昔前のロボットの上半身に戦車のような下半身には人一人が座れる椅子が設けられている。

サングラスをかけた女性の頭部には、某機動戦士のような二本角。



あ、あれー?なにこれー?




「天才科学者の頭脳を継承したとはいえ、俺には歯科医師の免許も、歯科技師としての資格もない。

だから人工知能のリーデングカンパニーである飛電インテリジェンスから払い下げになった歯科医師ロボットの残骸を元に手術台と手術道具を装着し!歯科技師としての技術もラーニング!

いつでもどこでも歯科治療を行える最強のロボットとなった!





その名も!『戦闘妖精ナカムラさんⅡ』だっ!!」




「戦闘妖精ナカムラⅡです」




「「「「「……………は?」」」」」





え?だから…………は?




なにこれ?ホントになにこれ?


自分で治療出来ないから治療できるロボットを作るのはわかる。

それで、なんで戦闘妖精になる?


ていうか戦闘妖精ってなに?


ていうか医師免許とか妙に律儀すぎない!?



「さぁ、ナカムラさんⅡ。

セッテを治療してあげてくれ」


「イェス、マイロード」


「えっ!?ちょっと!!!」


その瞬間、戦闘妖精から放たれたシートベルトのようなものがセッテを捉えると無理やり椅子にセッテをくくりつける。



「さぁ、セッテさん。大きく口を開けてください。


少しでも動くと…………



…………顔吹き飛びますよ」



「ちょっと待って!!

そんな顔吹っ飛ぶようなデカいドリルが入るわけ………


………アガガガガガガガガガガガガガガ!?」


有無も言わず戦闘妖精はセッテの口を無理やり開かせるとドリルを突っ込みはじめセッテの歯を削り始める。


隣でニヤリと笑う勇騎さん。


あー………やっぱりハンカチ台無しにされたの根に持ってるんだ。



それにしても、折れた前歯治すのに、そんな大袈裟なドリルで削る必要なくない?
たしかに欠けた面を削ってキレイにするのは利にかなってるけど……



まぁ、私は親友としてセッテを助けなきゃいけないんだろうけどさ。








でも……………











「………ゴメンね、セッテ。

こればかりはどーすることも出来ないや」




まぁ、歯医者さんで、死にはしないから大丈夫……………



……………だとは思う。
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